• 万博閉幕から

tokyo1970万博体験記 (61)フランス

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最初に足を踏み入れたのがフランス館であった。あのときの胸の高鳴りを覚えている。白く流線を描く外観は、まるで光そのものを素材にして建てられたようで、朝の陽を受けて静かに輝いていた。そして、気づけば三度の万博のうち、二度もこの館に導かれている。どうやら私はフランスという響きに弱いらしい。

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この日は140分待ち。数字だけ見れば長蛇の列だが、昨日イタリア館で6時間の苦行を味わった身には、もはや修行僧の悟りのような心持ちで待つことができた。列の先に何があるのかを知っている者は、もう不安に怯えない。フランス館は、待ち時間すらも一種の余韻に変えてしまう魔法を持っている。

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館内に入ると、光と香りが織りなす静かな劇がはじまる。映像でも展示でもない、空気そのものが芸術になったような時間。ひとつひとつの演出が、まるでパリの街角で誰かが夢を語っているように心を撫でてくる。何度訪れても新しい発見があり、出口を出たあともしばらく現実に戻れない。

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これで本当に最後の万博だと思うと、胸の奥にぽつりと影が落ちる。けれど、あの煌めきの中に自分の足跡を残せたことを思うと、不思議と満たされた心地もする。万博の終わりは、次の旅の始まりなのかもしれない。

投稿日:2025年11月3日

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