• 万博閉幕から

tokyo1970万博体験記⑦ フランスパビリオン

tokyo1970万博体験記⑦ フランスパビリオン

大屋根リングという名の巨大な円環をくぐると、視界の先に忽然と現れるのは、フランス、そしてアメリカ。
名だたる国家が威信をかけて築いたパビリオンたちは、夢洲の広大な土地に鮮やかな存在感を放ち、来場者の理性と計画をやすやすと打ち砕く。

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事前に綿密に組み上げたスケジュールがあったはずだった。朝は東のパビリオンをゆっくり眺め、午後は比較的人の少ないゾーンへ……といった理知的な計画は、大屋根リングの光と影を受けた瞬間、まるで初夏の蜃気楼のように霧散した。

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気づけば私は、フランス・パビリオンの列に吸い寄せられていた。まるで目には見えぬフランス的磁力が働いていたかのように。

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入場すると、目の前に現れたのは「鼓動」という文字。万博が、ここから始まることを高らかに告げるかのような出迎えに、一瞬で気持ちが切り替わる。

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館内は、白を基調とした空間。そこには高級鞄が整然と並び、まるでラグジュアリーな夢の世界のようである。やがてロダンの「守りの手」が静かに現れる。その力強い手のひらに、フランスが守ってきた文化と芸術の重みを感じる。

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さらに進むと、巨大スクリーンが踊るように光を放ち、そこにはパリの街で人々が跳ねるように生きている姿が映し出されていた。喧騒も、沈黙も、都市の呼吸も、ここに再現されている。パリの街角の陽射しが、夢洲の空気の中に差し込んできたかのような錯覚。

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少し目を閉じると、もはやここが大阪なのかパリなのか分からなくなる。万博とは、国を越えて、心をも越える体験装置なのだと気づかされる。

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私の2025年万博は、ここから始まった。フランスから始まった。それは、まったくもって正しかったと思える選択だった。明日も、きっとこの場所が呼んでいる。

投稿日:2025年6月30日

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