
いよいよ、万博への出発が目前に迫る。
この瞬間は、夢洲に降り立つ前の最後の準備――言わば、戦への出陣式である。
まず最優先は、Wi-Fiの設定。万博公式アプリと現地ネットワークは切っても切れぬ縁。前日にしっかり構えておけば、会場に入った瞬間、スマホがするりと電波をつかみ、情報の海に泳ぎ出せる。
そして、モバイルバッテリー。撮影に、地図閲覧に、そして何より当日登録という運命の抽選で、狂ったようにリロードを繰り返す手のひらの心臓。筆者は2つ持参。少しの油断が敗北を招く。
地図は紙で持参。A3モノクロで印刷し、狙うパビリオンにマーカーを走らせる。こうして紙に触れ、万博の地図を「脳」に刻み込むのだ。
折りたたみ椅子も詰め込むが、「60分以上は並ばない」という信念のもと、使用せず。だが「持っていること」そのものが、心の杖になる。
リュックには万博で生き延びるためのすべてを詰めた。
そのサイズ――高さ50cm、幅45cm、奥行20cm。
空港のX線検査装置を通れれば大丈夫だという知見を、掲示板と公式サイトで得て、安堵しつつ出陣の朝を迎える。
すべては、夢洲という幻の都市を一歩ずつ踏みしめるために。