
トルコパビリオン。待ち時間は20分――それは退屈な時間ではなく、未知の国へ渡るための通過儀礼のように感じられた。

やがて扉の向こうに現れるのは、太陽と月が寄り添う幻想的なオブジェ。赤と白が溶け合い、光の粒が宙に舞う。その輝きはまるで、太古より続く友情の記憶を呼び覚ますかのようだった。

トルコ国旗の三日月と日本国旗の太陽――それは遠く離れた二つの国が、ひとつの空を共有する約束の印。

この光を目にした瞬間、時間が止まった。万博の喧騒が遠のき、ただこの象徴の前に立つ自分だけが、静かに世界と結ばれていた。






展示を巡るよりも、この一瞬の輝きを胸に刻むことの方が、何倍も価値があるように思えた。トルコ館は、異国を旅するというより「世界が一つになる瞬間」を体験する場所だった。