
万博訪問の二日目。昨日とはまったく違う心持ちで、今日は西ゲートから入場することにした。朝の桜島駅は、すでに人々のざわめきに包まれていた。シャトルバスに揺られること数分、夢洲の大地が目の前に現れる。入場時刻は10時。初夏の陽射しがまぶしく、まるで未来が今まさに始まることを告げているようだった。
頭の中には、数週間前のほろ苦い記憶が残っていた。2ヶ月前、意気込んで応募したNTTパビリオンの抽選に落選し、未来のテクノロジーには手が届かぬと肩を落とした。だが、そのときの悔しさが、今日の行動力となっていた。救いはあった。7日前の先着予約で、三菱未来館の入場枠を手にしていたのだ。あの瞬間だけは、時代の先をかすかにつかんだ気がした。
そして今日。目標は明確だった。並ぶ覚悟で日本館とルクセンブルク館を目指す。と同時に、当日登録にすべてを賭けた。スマートフォンを握りしめ、アプリを開く指先にわずかに汗がにじむ。そして訪れる奇跡。NTTパビリオンの当日登録に、見事当選。2ヶ月前の落選が、こうして未来への一歩となって報われたのだ。
さらに、運は尽きなかった。パナソニックの当日枠にも滑り込むことができた。技術と希望が交差するその空間で、目にするものすべてが「未来の断片」として胸に刻まれてゆく。偶然と計画、落胆と歓喜。あらゆる感情が混ざり合い、夢洲の地は、まるで心の迷宮のように私を翻弄してくる。
それでも人は歩く。たとえ昨日がだめでも、今日に期待を託すことができる限り。万博はそういう場所だ。現実と夢想の狭間で、何度でも挑戦し、失い、また手に入れる。そんな巡礼のような一日が、静かに、しかし確かに進んでいく。