
10月6日と7日――それは自分にとって最後の万博参戦。
まだ夏の盛り、半ば気まぐれのように取った予約が、今では奇跡の切符に変わっていた。まさか、ここまでの熱狂が広がるとは思いもしなかった。
一日目は10時、西ゲート。二日目は9時、西ゲート。すでに門前から人の波が揺れている。行けるだけで十分だ、と心に言い聞かせながらも、あの巨大なリングの向こうに広がる未来の国々を思えば、胸がざわめく。
パビリオン予約は二ヶ月前も、一週間前も、三日前も、ことごとく落選。
九月に来たときよりも、明らかに熱気が増していた。まるで万博全体が生き物のように、日ごとに膨張していくのだ。
今回はJTBの“ガンダムパビリオン入場確定ツアー”。二日目の夕方、その扉が確実に開くという安心感が、かえって冒険心を呼び覚ます。
当日の戦略はただひとつ――“null²”の予約を狙う。イタリア館は何時間でも構わないから並ぶ。
ここに来るのは、未来を覗くためではない。夢の終わりを、自分の足で確かめるためだ。
万博という名の巨大な物語の中で、最後の自分のページを、静かに書きに行くのである。