来春「iPS心臓」大阪駅周辺で展示

昨年の大阪・関西万博を訪れた人々の記憶には、さまざまな未来の風景が残っている。そのなかでも、ひときわ多くの人の足を止めたのが、赤い培養液の中で静かに鼓動を刻んでいた「iPS心臓」だった。

夢洲のパソナ館でその姿を見たとき、多くの人は未来を見ていたのではない。むしろ、人間の命そのものを見つめていたのだと思う。小さな拍動は不思議な説得力を持ち、賑やかな万博会場のなかで、そこだけ時間の流れが変わっているようだった。

そして来年春、その鼓動が再び大阪へ帰ってくる。日本医学会総会にあわせて開催される市民向けイベントで、iPS心臓と心筋シートが展示される予定なのである。会場はJR大阪駅周辺の複数の候補地で検討されており、詳細はこれから発表されるという。

それがまた実に面白い。未来は特別な研究施設の奥深くにあるのではなく、人々が買い物をし、待ち合わせをし、何気なく通り過ぎる街のどこかへ現れるのだ。万博では長い行列の向こう側にあった未来が、今度は日常の延長線上に姿を見せる。

万博で見逃した人には待ち望んだ再会の機会となり、一度見た人にはあの胸の高鳴りを呼び戻す旅となるだろう。夢洲の熱狂は終わったはずなのに、その鼓動だけは静かに生き続けている。

未来は遠い場所にあるのではない。大阪の街角のどこかで、今日も次の出会いを待っている。その小さな心臓の鼓動に耳を澄ませば、万博の続きを歩いているような気持ちになるのである。

万博で注目集めた「iPS心臓」、来春JR大阪駅周辺で展示へ
5/30(土) 10:50配信 読売新聞オンライン

 昨年の大阪・関西万博で目玉の一つとして注目された「iPS心臓」が来年3月、JR大阪駅周辺で展示される。同年4月に大阪市内で開かれる日本医学会総会に関連した市民向けイベントの企画といい、総会の会頭を務める澤芳樹・大阪大特任教授が29日、同市内で開かれている日本産業衛生学会の講演で明らかにした。
 iPS心臓は澤氏の研究成果を生かし、阪大発の新興企業「クオリプス」(東京)がiPS細胞から開発した。パソナグループのパビリオンで展示され、赤い培養液の中で拍動する様子を見ようと多くの来場者が訪れた。万博閉幕後は、東京都内で昨年11月に開かれたイベントで展示された。
 総会の市民向けイベントは来年3月20~28日、JR大阪駅周辺の6か所で開かれ、クオリプスはiPS心臓とiPS細胞から作った心筋シートを展示する。具体的な展示場所や観覧方法は今後検討する。
 澤氏は講演で「万博でiPS心臓を見られなかった方もたくさんいるのではないか。万博の雰囲気や興奮を改めて感じてもらえるようにしたい」と語った。
(万博で注目集めた「iPS心臓」、来春JR大阪駅周辺で展示へ(読売新聞オンライン) – Yahoo!ニュース)

投稿日:2026年5月31日

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