• 万博閉幕から

姫路にオーストリア館の浮世絵ピアノ

姫路にオーストリア館の浮世絵ピアノ

姫路の城下町に、不意にひとつの風が吹き込んだ。大阪・関西万博のオーストリアパビリオンで静かに来場者を魅了していた、あのグランドピアノが姫路へやって来るというのだ。価格は5千万円――と聞けば驚きもするが、ただの楽器ではない。
ベーゼンドルファー社が16台だけ世に送り出した特別な一台であり、その内側には葛飾北斎の「神奈川沖浪裏」が深い青を湛え、音と波とが共鳴するように潜んでいる。

今年、ウィーンのシェーンブルン宮殿と姫路城が「姉妹城」となったことが、この不思議な縁を運んできたらしい。世界的な音楽都市と、白鷺の城が並び立つ構図は、どこか寓話の始まりを思わせる。

市はこのピアノを文化交流の象徴として迎えるという。だとすれば、ピアノは単なる展示物ではなく、姫路の新たな物語の扉となるのだろう。白い城壁のそばで、北斎の波が静かに煌めき、ウィーンの息吹がそっと響く。そんな風景に触れてみたいと胸がざわめく。

世界に16台のピアノを5千万円で購入方針 姫路市、万博海外館から
11/20(木) 19:20配信 朝日新聞

 兵庫県姫路市は20日、大阪・関西万博のオーストリアパビリオンで展示されていたグランドピアノを5千万円で購入する方針を明らかにした。同日の市議会議会運営委員会で説明した。26日開会の定例市議会に補正予算案を提出する。使い道などの詳細は12月に公表するという。
 このピアノは、日本のヤマハの子会社であるオーストリアのベーゼンドルファー社製。葛飾北斎の浮世絵「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏」が内側に描かれている。世界で16台限定のモデルとして今年発売され、そのうち1台が万博で展示されていた。
 音楽の都・ウィーンのシェーンブルン宮殿と姫路城が今年5月に「姉妹城」の提携を結んだのが縁。市は「ピアノは今後の文化交流のシンボル」としている。
(世界に16台のピアノを5千万円で購入方針 姫路市、万博海外館から(朝日新聞) – Yahoo!ニュース)

投稿日:2025年11月23日

“姫路にオーストリア館の浮世絵ピアノ”の関連キーワード