• 万博閉幕から

tokyo1970万博体験記 (57)ブルキナファソ

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万博という場所には、不思議な安全の魔法がかかっている。
外務省の危険情報では「レベル4:退避してください。渡航は止めてください」と赤字で書かれるような遠い国にも、ここでは誰もが笑顔で“旅”に出ることができる。パスポートもビザもいらない。夢洲の風をひとまたぎすれば、そこはもう西アフリカ——ブルキナファソ。

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入口では、まるで天空を突き刺すような「ワガタワー」の写真がどーんと迎えてくれる。

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手作りの展示、ざらりとした木の匂い、カラフルな布、どれも少し歪で、少し温かい。完璧さとは無縁の、まさに“人の手の跡”が残るパビリオンである。

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「ブルキナ」とはモレ語で尊厳・公正・尊敬を意味し、「ファソ」はジェラ語で先祖の地、すなわち故郷を意味するという。国の名そのものが、誇りと祈りを織り込んだ詩のようだ。

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ブースの片隅には、ブロンズの仮面や小さな動物たちの像が並ぶ。西アフリカの強い日差しをそのまま固めたような黄金の光沢が、静かに人々を見つめ返す。

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万博の会場に吹く風の中で、ブルキナファソの空気はゆっくりと混じり合う。
遠くて、危険で、名前すら覚えにくい国——けれどこのパビリオンの前に立つと、不思議と胸の奥が温かくなる。
ここでは誰もが旅人になれる。
国境を越えずに“尊厳と故郷”に触れるための、小さな奇跡が、静かに息づいている。

投稿日:2025年10月31日

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