- 万博閉幕から
万博の熱気が静まりつつある秋の日、ひとつの“命のかけら”が次なる舞台へ旅立った。大阪・関西万博のサウジアラビア館で展示されていた人工サンゴが、関西大学へ寄贈されたのである。
大きさおよそ15センチの白いサンゴたちは、炭酸カルシウムでできた小さな彫刻のように美しく、光を受けて淡く輝く。その数、およそ100体。ともに贈られた3Dプリンターは、未来の海を形づくる新しい“波”のようでもあった。
この人工サンゴは、関西大学とサウジアラビアのアブドラ王立科学技術大学が共同で進める研究の一環として、鹿児島県・与論島の海へと移される。今月中には、切り取られた数センチの天然サンゴをその人工骨格に移植し、海底に静かに据えられる予定だ。
人工と自然、科学と命――その境界にそっと手を伸ばそうとする試みである。
関大の上田正人教授は、もともとサンゴの再生技術を別のパビリオンで紹介しており、その縁がこの海を越える連携を生んだ。
研究チームは2030年、サウジ・リヤドで開かれる次の万博で成果を披露するという。夢洲から与論島、そしてリヤドへ。ひとつのサンゴがたどる旅路は、まるで地球そのものの再生を描く物語のようだ。
万博サウジ館の人工サンゴ、関西大に寄贈…天然サンゴ再生の実験へ
10/16(木) 11:29配信 読売新聞オンライン大阪・関西万博のサウジアラビア館で展示されていた人工サンゴが15日、関西大に寄贈された。同国の大学と関大の共同研究チームが、この人工サンゴを使って天然サンゴを再生させる実証実験を鹿児島県・与論島近海で今月中に始める。
チームは、サウジで2030年に開催予定のリヤド万博で研究成果を披露したいとしている。
共同研究は、サンゴの再生に取り組む関大化学生命工学部の上田正人教授らが、サンゴを効率良く増やす技術を別のパビリオンで紹介した縁で実現した。
サウジ館で人工サンゴを展示したアブドラ王立科学技術大のタッド・トラスコット准教授らがこの日、関大を訪れ、大きさ15センチ程度の人工サンゴ約100体と製作用の3Dプリンターを寄贈した。
人工サンゴはサンゴの骨格を形成する炭酸カルシウムで作られ、実証実験では、長さ数センチの天然サンゴの切片を移植し、海底に設置して成長度合いを観察する。
(万博サウジ館の人工サンゴ、関西大に寄贈…天然サンゴ再生の実験へ（読売新聞オンライン） – Yahoo!ニュース)
“３Ｄプリントで作成のサンゴの模型”が関西大学に寄贈 万博・サウジアラビア館で展示 生きたサンゴの断片や細胞を移植し“命を吹き込む”研究すすめる方針
10/16(木) 10:10配信 MBSニュース大阪・関西万博のサウジアラビア館で展示されていた３Ｄプリントで作られたサンゴの模型が関西大学に贈られました。
１０月１５日、関西大学に寄贈されたサンゴの模型約１００体と３Ｄプリンター。これらは、１０月１３日まで万博のサウジアラビア館で展示されていたものです。
模型は３Ｄプリンターを使って実際のサンゴの骨格と同じ形状を再現したもので、大学ではそこに生きたサンゴの断片や細胞を移植して“命を吹き込む”研究を行うということです。
（関西大学・化学生命工学部 上田正人教授）「我々が完全に持っていないテクニックで、ほしいと思っていたテクニックなので、本当すごく奇跡的なコラボレーションだと思っています」
“３Ｄプリントで作成のサンゴの模型”が関西大学に寄贈 万博・サウジアラビア館で展示 生きたサンゴの断片や細胞を移植し“命を吹き込む”研究すすめる方針（MBSニュース） – Yahoo!ニュース
万博サウジ館、3Dプリンターを関大へ寄贈 次回万博へ向け協力深化
10/16(木) 7:00配信 朝日新聞大阪・関西万博に参加した中東・サウジアラビア館は15日、展示品の製作に使用した「3Dプリンター」などを関西大に寄贈した。機器はサンゴ礁の再生研究に使われる。贈呈を機にサウジ国内の研究機関と関西大が、サンゴの細胞移植や育成に関し共同で研究することも確認された。
千里山キャンパス（吹田市）であった贈呈式には、サウジ館の展示担当タッド・トラスコットさんや関西大の高橋智幸学長らが参加した。3Dプリンターで作ったサンゴの骨格が手渡されると、今後の関係が深まることを願って握手を交わした。贈呈式では3Dプリンターでつくったサンゴの骨格約100個も寄贈された。
寄贈のきっかけは今年8月のこと。関西大発のベンチャー企業が、大阪ヘルスケアパビリオンで、水槽内に自然の生態系を再現する技術を展示。それをサウジアラビア館関係者が視察していたという。
(万博サウジ館、3Dプリンターを関大へ寄贈 次回万博へ向け協力深化（朝日新聞） – Yahoo!ニュース)
投稿日：2025年10月20日