• 万博閉幕から

ラストに登場「空飛ぶクルマ」

夢洲の空にふわりと浮かび上がったのは、人々の憧れを乗せた「空飛ぶクルマ」。その正体は、ANAホールディングスと米国のジョビー・アビエーションが開発した電動航空機「Joby S4」である。六つのプロペラが唸りをあげ、離陸の瞬間はヘリコプターのように垂直に舞い上がる。ところが、空に馴染むと翼が風を掴み、今度は滑らかに飛行機のごとく水平飛行へと移行する。まるで空の上で二つの生き物に姿を変える幻獣のようであった。

9月30日、そのデモフライトの幕開けを飾る式典が会場で催され、多くの来場者が見守る中、機体は「EXPO Vertiport」から離陸した。青空を背景に、夢洲西側の海上を旋回しながら進む姿は、ただの技術実証を超えて、未来の物語が現実に混ざり始める瞬間を象徴していた。飛行時間はわずか13分。しかし、その短い時間に観客は、これまでの常識を覆す風景を目の当たりにしたのである。

「車ではなく小型飛行機に分類される」と開発者は語る。それでも人々は親しみを込めて「空飛ぶクルマ」と呼ぶ。なぜなら、この機体が目指すのは、人の暮らしに寄り添い、移動の当たり前を変えてしまう存在だからだ。パイロットひとりと乗客四人を運ぶその姿は、まだ未来の雛形にすぎない。だが、最高時速320キロ、静かに空を裂く旋律は、誰もが胸の奥で抱いてきた「もし空を駆けることができたなら」という夢を、確かに現実の地平に近づけている。

西ゲート前、大屋根リング、休憩所の広場――会場のいたるところから人々が空を見上げ、光を反射する翼に目を奪われた。子どもたちの歓声と大人たちの驚嘆が入り混じり、夢洲の風景は一変する。十年後、この機体が都市の空を縦横に行き交う日が来るのかもしれない。

万博は「未来を先取りする実験場」と言われるが、この瞬間ほどそれを実感することはないだろう。夢洲の空を舞った「空飛ぶクルマ」は、ひとときの見世物にとどまらず、未来都市の予告編として、確かに人々の記憶に刻まれたのである。

万博ラストの大目玉…「空飛ぶクルマ」が会場内をデモ飛行へ 本当に車なの?
2025.10.1 07:00 Lmaga.jp

「ANAホールディングス」と米国の企業「Joby Aviation」が開発する「空飛ぶクルマ」ことeVTOL機が「大阪・関西万博」でデモフライトを開始する。その式典が9月30日に万博会場にておこなわれ、夢洲の上空を約13分間飛行した。
今回万博会場で飛行を開始するのは、米国のJoby Aviationが設計・製造した「Joby S4」。6つのプロペラを持ち、ヘリコプターのように垂直に飛び上がり飛行機のように水平に飛ぶ特徴を持つ。
「空飛ぶクルマ」という愛称が浸透しているが、式典で同社の小早さんが「『これ空飛ぶクルマちゃうやんか!』って思ってらっしゃるかもしれませんが、これは車ではなく小型飛行機に分類されます」と説明した通り、厳密に言うと電動の航空機となる。万博公式サイトによると、クルマのように人々の生活に欠かせない存在となることを目指し、「空飛ぶクルマ」と呼ばれているという。
式典当日、約200名の報道陣と来賓が固唾をのんで見守るなか、同機は万博会場西側に位置する「EXPO Vertiport(モビリティエクスペリエンス)」を離陸。ポートを飛び立つと海上をぐるりと旋回、約13分にわたって飛行をおこなった。同機が無事に着陸すると、歓声と拍手が上がった。
同機は9月30日におこなわれた式典を皮切りに、10月1日・2日、4日~7日、9日~13日と閉幕までほぼ毎日デモ飛行をおこなう。離陸時刻は11時頃~、14時頃~の1日2回を予定(土曜日のみ、16時頃の飛行も検討中)。
会場西側の海上を飛行するため、巡航中は大屋根リング上や、西ゲート前、西側団体休憩所など、会場各所から飛行する姿を見ることができそうだ。離着時の見学はモビリティエクスペリエンスにて(予約不要)。天候や機体状況によってスケジュール変更の場合あり。
(万博ラストの大目玉…「空飛ぶクルマ」が会場内をデモ飛行へ 本当に車なの? | Lmaga.jp)

ANA、万博で「空のタクシー」デモ飛行 27年以降の商用化めざす
2025年9月30日 18時00分 朝日新聞

 航空大手のANAホールディングス(HD)は9月30日、大阪・関西万博の会場で、垂直に離着陸する電動の小型航空機(eVTOL=イーブイトール)のデモ飛行を報道陣に公開した。同社はeVTOLを使った「空のタクシー」事業を計画している。2027年以降のサービス開始に向けて準備を進めていく考えだ。
 デモ飛行に使ったのは、提携する米ジョビー・アビエーションの機体S4。パイロットひとり、乗客4人の5人乗りで、最高時速は320キロ。六つのプロペラが離陸時は上を向き、上空では横を向く「ティルトローター」と呼ばれるしくみを採用している。
 この日はパイロットひとりが乗り込み、万博会場内に設けられたポートを離陸。約10分間にわたり、会場横の海上を旋回飛行した。
(ANA、万博で「空のタクシー」デモ飛行 27年以降の商用化めざす [大阪・関西万博2025]:朝日新聞)

ANAと米Joby、空飛ぶクルマのデモ飛行 万博で12分飛ぶ
aviationwire

全日本空輸(ANA/NH)を傘下に持つANAホールディングス(ANAHD、9202)は9月30日、日本では「空飛ぶクルマ」と呼ばれるeVTOL(電動垂直離着陸機)のデモ飛行を、大阪・関西万博の会場で実施した。トヨタ自動車(7203)が出資する米Joby Aviation(ジョビー・アビエーション)が開発中のeVTOL「Joby S4」(登録記号N542JX)を使い、万博会場西側の上空を12分48秒飛行した。ANAHDでは、2027年度以降に「エアタクシー」として実用化を目指す。
 Joby S4は電動航空機で、6つのローターを使ってヘリコプターのように垂直に離陸し、空中でローターを上向きから前向きに変え、プロペラ機のように水平飛行できる。パイロット1人と乗客4人の最大5人が搭乗でき、最高時速は200マイル(320キロ)、航続距離は160キロで、FAA(米国連邦航空局)による型式証明の審査は、5段階中3段階目まで完了している。ANAHDによると、第3段階まで完了している企業は、米国では初めてだという。
 30日のデモフライトでは、ANA塗装を施した機体を使用。万博会場にあるeVTOLの離着陸施設「EXPO Vertiport」を離陸し、会場西側の海上を翼で揚力を得る完全遷移状態で水平飛行を披露した。午前11時9分に離陸し、高度400フィート(120メートル)を170キロで飛行し、午前11時22分に同施設へ着陸した。
 ANAHDとJobyは8月に、日本でのエアタクシーサービスの実現に向けて、合弁会社設立の検討を開始したと発表。2027年度以降、首都圏では東京都心と成田空港や羽田空港などを結ぶサービスを視野に入れており、その後は関西圏、中部圏、地方都市、離島などへの展開も検討している。ANAHDによると、都心から成田空港へ向かう場合、電車やタクシーであれば1時間から1時間30分程度かかるが、エアタクシーなら約15分で着くという。
 ANAHDの芝田浩二社長は「都心から成田までタクシーなら3万円、4万円かかる。スピードの競争優位はあるが、10万円、20万円だと厳しいだろう」と、地上交通網の価格帯も念頭に運賃設定を検討していく姿勢を示した。
(ANAと米Joby、空飛ぶクルマのデモ飛行 万博で12分飛ぶ)

万博閉幕まであと14日…「空飛ぶクルマ」再び、10月より「ほぼ毎日」デモ飛行 今回は会場各所から見られる!?
9/29(月) 8:55配信 Lmaga.jp

閉幕まで半月を切った「大阪・関西万博」(会場:夢洲)。「ANAホールディングス」および「Joby Aviation」は会期ラストの大きなトピックスとして、10月1日よりほぼ毎日、会場上に「空飛ぶクルマ」をデモ飛行すると発表した。
今回飛行するのは、米国で設計・製造され、ANAの特別塗装を施した「Joby S4」。全長 約7.6m、全幅(翼長)約14m、全高 約3.5m。ヘリコプターのように垂直に離陸し、飛行機のように効率的に水平飛行することが可能であり、極めて静かな飛行が特徴。既存の地上交通よりも早く、利便性の高いモビリティとなるよう設計されており、混雑を気にすることなく、移動時間を劇的に短縮することを可能にしたもの。
デモ飛行では、万博会場西側に位置する「EXPO Vertiport(モビリティエクスペリエンス)」から離陸し、会場西側の海上を、翼で揚力を得る完全遷移状態で飛行する。飛行時間は各回10分~15分程度の予定。機体の巡航中は大屋根リング上や、西ゲート前、西側団体休憩所など、会場各所から飛行する姿を見ることができる。
同社は「飛行するJoby S4の『静かさ』にも注目いただき、ぜひデモ飛行実施時間帯には空を見上げてください」と呼びかける。
(万博閉幕まであと14日…「空飛ぶクルマ」再び、10月より「ほぼ毎日」デモ飛行 今回は会場各所から見られる!?(Lmaga.jp) – Yahoo!ニュース)

「飛ぶかどうかわかりません」それでも離陸した空飛ぶクルマ 万博で連日デモフライトへ
9/30(火) 15:05配信 産経新聞

大阪・関西万博会場の西端にある「モビリティエクスペリエンス」は、空飛ぶクルマの離発着場。10月1日から閉幕日の13日まで、特別塗装を施した「Joby S4」のデモフライトが行われる。
9月下旬、いつもは何もないこの場所に、空飛ぶクルマがあった。周辺にはたくさんの人が集まり、身動きもとれない状態。警備員が「飛ぶかどうかわかりません」とアナウンスするも人は減らない。
(「飛ぶかどうかわかりません」それでも離陸した空飛ぶクルマ 万博で連日デモフライトへ(産経新聞) – Yahoo!ニュース)

投稿日:2025年10月4日

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