
夢洲という島は、まるで未来の幻が現実の形をとって浮かび上がったような場所である。大阪湾にぽつりと浮かぶその人工島は、2025年の大阪・関西万博の会場として、今まさに人々の想像を飲み込みながら変貌を遂げようとしている。
松井市長は、この島のその後を見据え、万博閉幕後の設計図を描こうとしているという。夢洲は人が住まぬ島。だからこそ、そこには眠るような静寂と、何にでも化けられる無限の可能性がある。エンターテインメントの島として生まれ変わる構想も、そんな「空白の力」を信じる者たちの夢であった。
かつて語られたF1誘致の話は、現実の壁に突き当たり、静かに幕を下ろした。莫大な費用、複雑な整備――夢は儚くも、しかしその火花は確かに人々の胸を焦がした。モナコやシンガポールのように、夜の海を駆け抜けるマシンの幻影が、夢洲の空に浮かんで消えた。
それでもこの島には、まだ熱がある。人が住まないゆえに、誰もが「次なる非日常」を描ける場所。万博が去った後も、風の向こうで何かが始まろうとしている。夢洲はまだ夢の途中なのだ。
人工島・夢洲へのF1誘致、大阪市が断念…万博会場跡地利用「採算取れず」
6/16(木) 6:45配信 (読売新聞オンライン)大阪市が、大阪湾の人工島・夢洲(ゆめしま)(大阪市此花区)への自動車レースの最高峰F1世界選手権の誘致を断念していたことがわかった。大阪府の吉村洋文知事が大阪市長時代、夢洲のエンターテインメント化の一環として公道での開催を打ち出したが、採算が取れないことが主な理由という。
夢洲では2025年、大阪・関西万博が開催される。吉村氏は19年、万博閉幕後の会場跡地の活用に関連し、「人が住まない夢洲の公道なら、レースができるのではないか。世界中の人がF1を楽しめれば、大阪の活性化につながる」と述べ、F1誘致を表明していた。
「万博跡地の活用指針を」 大阪市長、F1誘致は困難
6/16(木) 20:22配信大阪市の松井一郎市長は16日、2025年大阪・関西万博の会場となる同市の人工島・夢洲について、22年度中に「万博後の設計図、跡地活用方法のガイドラインを作りたい」との考えを明らかにした。19年に当時市長だった吉村洋文大阪府知事が夢洲への誘致の意向を表明した「自動車レースF1」は、採算面などの課題があり「今の時点では困難」とした。
松井氏は記者会見で、跡地活用について「結構なオファーが来ている。人が住んでいない夢洲はエンタメのポテンシャルが高い」と強調した。F1誘致は経費や開催に合わせた道路整備を課題に挙げ「招致できるという根拠がなかった」と述べた。
(共同通信から)
大阪市がF1誘致「断念」でわかった「F1開催にかかるカネ」 鈴鹿GP撤退なら「今後の日本レース開催は無理」の現実
6/16(木) 22:31配信 (SmartFLASH)大阪市が此花区にある大阪湾の人工島・夢洲(ゆめしま)にて検討していた、4輪自動車レースの最高峰「F1世界選手権」のグランプリ(GP)招致を断念していたことがわかった。6月16日に「読売新聞オンライン」が報じている。
夢洲は、2025年に開催される「日本国際博覧会(大阪万博)」の会場になっており、閉幕後の跡地利用の一環として「F1招致」が浮上していた。
大阪府の吉村洋文知事(46)も、2019年2月12日に自身のTwitterでこう投稿していた。
《F1大阪グランプリ、公道レース、夢物語だとは思わない。モナコ、シンガポールができるなら大阪もできる。ハードルは認識してる。夢洲には世界最高水準のIRがくる。夢洲は人が住まない非日常の人工島。公道の形状、配置もこれから本格設計。やろうじゃない》
しかし、“断念報道”後は、F1招致について言及していない。
「読売新聞オンライン」の記事では、市が検討を進めたところ、主催者の国際自動車連盟(FIA)に対して支払う資金だけでも400億~500億円かかるのに対し、チケット販売などによる収益は30億円前後と、採算が合わなかったとされている。