
万博の海外パビリオンが解体される――その知らせは、まるで夢の終わりを告げる鐘の音のように胸の奥に響く。10月20日から、各国の華やかな建築は静かにその役目を終え、解体工事へと移り変わっていくらしい。閉幕してわずか一週間。あれほどの熱気と喧騒をまとっていた空間が、今度は解体のための足音に包まれるというのだ。
参加国が自前で建設したタイプAのパビリオンは、来年4月13日までに更地となり、協会に敷地を返還することを求められている。あの国の塔のような館も、この国の迷宮のような館も、やがて跡形もなく消えていく。協会が用意したタイプBやタイプCの建物も、11月末までには展示を下ろし、空っぽの箱だけが残されることになる。
思えば、それぞれのパビリオンには、建築家たちの執念や、国を背負った物語、そして訪れる人々の歓声と驚きが重ねられていた。その全てが一過性の幻だったのだと気づいたとき、ますます惹かれてしまうのは人の性であろう。だからこそ、解体が始まる前に訪れたい。
ガラスの光、異国の香り、耳に残るざわめき――それらは二度と同じかたちでは戻らない。消えてしまうからこそ、現実以上に輝く。大阪の夢洲の地に立ち、消えゆく奇跡を見届けることこそ、最大の贅沢なのかもしれない。
万博の海外パビリオン、10月20日から解体へ…閉幕1週間後
9/30(火) 9:10配信 読売新聞オンライン大阪・関西万博の海外パビリオンについて、万博協会が、閉幕1週間後の10月20日以降に解体工事を開始するよう各国に求める方針であることが協会関係者への取材でわかった。同7日の理事会で確認する。
協会関係者によると、閉幕後に展示品を搬出した後、解体に着手する。参加国が自前で建設した「タイプA」のパビリオンは、解体した上で来年4月13日までに敷地を万博協会に返還するよう求める。
万博協会が建物を用意した「タイプB」や「タイプC」は、今年11月末までに展示エリアを明け渡すよう要請する。
(万博の海外パビリオン、10月20日から解体へ…閉幕1週間後(読売新聞オンライン) – Yahoo!ニュース)