NOKIA 702NK IIを手に取ると、まずエレクトリックブルーに目が行く。青い携帯電話というだけなら話は早いのだが、この青は妙に鋭く、それでいて冷たすぎない。工業製品に色気を感じてどうするのかとも思うが、感じてしまったものは仕方がない。
そこにVodafoneのロゴが載っている。当時の私には、それが未来への通行証のように見えていた。もちろんロゴを持っているだけで未来へ行けるわけではないが、本人が得意になっているぶんには誰にも迷惑はかからない。
そして、カメラカバーである。カメラを使う予定もないのに開け、閉めた直後にまた開ける。金属的な感触と小気味よい動きがあるせいで、この無意味な往復には何か立派な目的があるような気がしてくる。
1回で済む動作を何度も繰り返しているのだから、冷静に考えれば何も進んでいない。それでもカバーを動かすたび、702NK IIをきちんと使いこなしている気分だけは増していく。高機能を味わう前に、まず蓋で満足しているのである。
もちろん、中にはPCとのワイヤレス接続や、オフィス文書を確認できるビューア、メール機能も入っていた。世界の多くの国と地域で通話や通信ができるという事実も含め、場所に縛られずに使える道具としての準備は整っている。こちらがカメラカバーばかり触っていても、702NK IIのほうは落ち着いて仕事を待っていた。
高機能と洗練された形が、エレクトリックブルーの筐体に収まっている。必要なものを持ち歩き、PCともつながり、文書も確認できる。その一方で、手元では理由のない開け閉めが続く。この真面目さと無駄な楽しさが、私にはちょうどよかった。
2005年12月17日に発売されたNOKIA 702NK IIを見て思い出すのは、機能の一覧よりも、やはりあのカメラカバーの感触だ。未来への通行証を手に入れたつもりで、実際には青い筐体の蓋を何度も動かしている。私の未来は、ずいぶん小刻みに開閉していた。
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