REVISITED 2026

talby

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今まで見た中で、一番かっこいいケータイはtalbyだ。スマートフォンまで含めても、この答えは変わらない。細長い直線の輪郭には、携帯電話を手のひらに収めるというより、一本の線を持ち歩くような潔さがあった。

とりわけ心をつかまれたのは、形の中に言い訳がないことだ。ここを膨らませて持ちやすそうに見せるでもなく、輪郭に表情をつけて親しみを演出するでもない。上から下まで、すっと通った線がある。その直線を眺めていると、定規で引いた一本の線が、そのまま電話になってしまったように思えてくる。

当初、talbyはいろいろなイベントで案のひとつとして展示されていた。展示されているからといって、必ず手にできるとは限らない。それでも、いつか発売されることをひたすら祈った。形が好きになると、まだ売られていない物にまで妙な親しみが湧く。こちらはすでに使う気でいるのに、肝心のtalbyだけが店頭にいない。そんな時間も含めて、この一台との付き合いは始まっていた。

そして2004年11月23日、talbyは発売された。発売日にはau shopへ向かい、オレンジオレンジを購入した。長く使っていたドコモからauへ移ったのも、talbyを使いたいがためである。回線を選んでから端末を決めるのではなく、一本の直線に引かれて行き先が決まった。携帯電話の形には、人を移籍させるほどの力がある。

オレンジオレンジという名もいい。色名を一度で済ませず、二度繰り返す。その響きには、遠慮なくオレンジであることを楽しむ調子がある。細身で端正なtalbyにこの色が載ると、直線の静けさと鮮やかさが同居する。ポケットから取り出す動作まで、少しだけ意識したくなる姿だった。

talbyの魅力は、細いこと以上に、線が途中で迷わないことにある。上端から下端まで視線を滑らせたとき、輪郭がこちらを寄り道させない。電話を見ているはずなのに、形そのものを鑑賞してしまう。毎日使う道具に、眺める時間まで付いてきた。

のちにtalbyを含むau design projectのモデルは、MoMAのコレクションに選定された。けれど、自分にとっての決定はそれよりずっと早い。イベントで案として展示されていた頃から発売を願い、発売日にau shopで手に入れた。その一連の時間が、細長い本体の中に今も折り畳まれず、まっすぐ収まっている。

いま見返しても、やはり一番かっこいい。talbyの直線は、昔を懐かしむためだけの線ではない。目に入るたび、物の形を好きになる気持ちは、これほど単純で頑固だったのかと思い出させてくれる。未来を想像して待ち、発売日に迎えに行った一本の線である。

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カタログ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ARCHIVE DATA

GADGET

正式名称・公演名
talby
発売・配布・開始年
2004年11月23日
update: 2020年12月20日12:39 pm