
街角のショーウインドーに、未来が一瞬だけ置き忘れられていた時代があった。au design projectの第三弾として現れたtalbyは、携帯電話という日用品の皮をかぶった、静かな革命だった。ドコモの回線に長く縛られていた自分が、思い切ってauへと身を投じたのは、この細長い直線体の魔力に抗えなかったからである。
もっとも当時のtalbyは、まだ夢の途中にあった。コンセプトモデルという名の蜃気楼で、必ず製品になる保証はどこにもない。人は不確かなものほど強く信じたくなるらしく、しばらくはINFOBARを握りしめながら、展示会やエキスポめいた会場に通い詰めた。カタログが刷られるたび、これはもう出るに違いないと胸の中で確信を育てていく。
やがて祈りは形を得た。発売の報せと同時に、迷いなく“オレンジオレンジ”を選ぶ。色というより意志であり、主張であり、街に差し込む夕焼けの断片だった。携帯電話は性能よりもまず姿だと信じてきた身として、この一台は理想の結晶に近かった。
時代は流れ、今やiPhoneに囲まれた生活にも不満はない。それでも、ふと机の引き出しを開けると、talbyの線の潔さが胸を打つ。余計なものを削ぎ落とした末に残った強さがある。ニューヨーク近代美術館の永久収蔵品に選ばれたという事実は、後付けの勲章にすぎない。あの頃、確かに未来はこの形をしていた。その未来に、もう一度会いに行きたくなる。














talby
- 発売日:2004年11月23日 今年目
- KDDI au: au design project > talby
- talby – Wikipedia
- talby (au Design project) の取扱説明書・マニュアル
- au、フラットデザインに高機能を搭載した「talby」
- こだわりのデザイン端末「talby」ついに登場 – ITmedia Mobile
- フルフラットのデザインケータイ「talby」 – 美しく、シンプルに | マイナビニュース
- さよならtalby – ネ言 negen
- お疲れさま、talby。:no title:So-netブログ
- 「au design project」の4モデルがMoMA (ニューヨーク近代美術館) のコレクションに選定〈参考〉