REVISITED 2026

山の上ホテルのプリンアラモード

プリンアラモード

山の上ホテルの階段を地下1階へ降りると、コーヒーパーラー「ヒルトップ」がある。ところが、ここでは「地下」という言葉が少し頼りない。ホテルは駿河台の丘の上に建ち、店は上り坂に面している。大きな窓から心地よい日差しが入り、50席の空間を柔らかく満たしているのだ。

階段を降りたのに、光のある場所へ着く。この小さな逆説がいい。丘の斜面に沿ってつくられた店内には、地上や地下といった区分だけでは片づけられない穏やかさがある。通路側には水出しコーヒー機があり、その近くの席には池波正太郎がよく座っていたという。店内に飾られた池波の絵も、この場所で流れる時間に静かに寄り添っている。

そんな「ヒルトップ」で、光を集めるように現れるのが山の上ホテルのプリンアラモードだ。昔ながらの濃厚なプリンに、季節のフルーツとバニラアイス。そして皿の上には、白鳥のかたちをしたシュークリームが羽を広げている。

どうしてプリンの隣に白鳥がいるのか。理屈を探すより、そこにいる姿を眺めていたくなる。白鳥のシューは単なる飾りではなく、一皿の空気を整える存在だ。プリンとフルーツとアイスだけでも甘い景色はできあがるが、白鳥が加わると皿の上に余白が生まれる。食べる前の数分まで、きちんとデザートの一部になる。

しっかりとしたプリンへスプーンを入れ、季節のフルーツへ移り、バニラアイスのやわらかさを味わう。その間も白鳥は皿の端で気品を保っている。最後まで残すか、早めに手をつけるか。そんな小さな迷いさえ、このプリンアラモードが用意した楽しみなのだと思う。

坂の上のホテルで階段を降り、窓から差す光の中で、白鳥のいる一皿と向き合う。ヒルトップのプリンアラモードには、場所とデザートが互いを引き立てる静かな物語がある。地下1階にありながら陽だまりのような店で過ごす甘い時間は、皿が空になったあとにも、ゆっくりと余韻を残す。

プリンアラモード

 

プリンアラモード

 

プリンアラモード

 

プリンアラモード

ARCHIVE DATA

PLACE / EXPERIENCE

場所・会場
山の上ホテル コーヒーパーラー ヒルトップ
その他の事実メモ
当店について
コーヒーパーラーは山の上ホテル内地下1階にございます。席は50席。地下と言いましてもここは駿河台の丘の上に建つホテル。上り坂に面しているため実際は大きな窓があり、心地よい日差しが差し込む何とも温かい空間が広がっています。
そんな場所を愛して下さる多くのお客様のひとりに池波正太郎さんがいます。池波さんは通路側の水出しコーヒー機にいちばん近い席によく座られていたそうです。また、店内には池波さんが描いた絵がたくさん飾られています。
池波正太郎ファンの方々にはたまらない空間でしょう。
(当店について | コーヒーパーラー ヒルトップ 御茶ノ水・神保町)



山の上ホテルの プリンアラモード
¥2,000
昔ながらの濃厚なプリンに季節のフルーツとバニラアイスを添えた、伝統のデザート気品溢れる 白鳥のシューが華を添えます
(復刻 山の上デザート | コーヒーパーラー ヒルトップ 御茶ノ水・神保町)



ホテルニューグランド(横浜市中区)は、第二次世界大戦後は連合国軍最高司令官総司令部の将校宿舎として接収されていた。その期間中にホテルに宿泊していた甘いものを好むアメリカ人将校夫人のために考案された。横長の「コルトンディッシュ(クルトンディッシュ)」という前菜用の器が使われ、使用されるフルーツはアメリカ軍が持ち込んだものが多く使用されている。ホテルニューグランドでは今日でもコルトンディッシュに当時と同様のフルーツを盛り付けて提供している。
「ア・ラ・モード」は「洗練された」、「流行の」を意味するフランス語から取られている。この名称は、件の将校夫人によるもので、当時のリンゴは矢羽根を模した「アローカット」で提供されており、初めて見る繊細な技術に感動したためとされる。
(プリンアラモード - Wikipedia)
update: 2026年3月10日3:22 am