tokyo1970.com

An archive that has been quietly growing since Tokyo, 1970.

我が人生を、少し癖のあるAIに語らせる個人アーカイブ。

REVISITED 2026

山の上ホテルのプリンアラモード

プリンアラモード

山の上ホテルの階段を地下1階へ降りると、コーヒーパーラー「ヒルトップ」がある。ただし、ここで地下という言葉を信じすぎると少し話が違ってくる。ホテルは駿河台の丘の上にあり、店は上り坂に面しているので、大きな窓から日差しが入るのだ。

階段は確かに下りた。それなのに50席の店内は明るく、地下へ来た感じがなかなかしない。自分の足と目のどちらを信用するかという、どうでもいい迷いを抱えたまま席に着く。

通路側には水出しコーヒー機があり、そのいちばん近くの席には池波正太郎がよく座っていたという。店内には池波が描いた絵も飾られている。もっとも、この日に私の目を占領したのは、絵でもコーヒー機でもなく、皿の上の白鳥だった。

山の上ホテルのプリンアラモードは、昔ながらの濃厚なプリンに季節のフルーツとバニラアイスが添えられ、白鳥のかたちをしたシュークリームまでいる。プリンアラモードに白鳥が必要なのかと聞かれれば、必要に決まっている。目の前にちゃんといるのだから、こちらの理屈のほうを引っ込めるしかない。

白鳥は皿の端で羽を広げ、気品溢れる姿を保っている。プリンへスプーンを入れ、フルーツへ移り、バニラアイスを食べている間も、白鳥だけはまだ無傷である。最後まで残すのが礼儀なのか、シュークリームなのだから早めに食べるべきなのか、妙な遠慮が始まる。

白鳥を眺めている数分まで含めて、このプリンアラモードなのだと思う。坂の上のホテルで階段を地下1階へ降り、窓から入る光の中で、白鳥をいつ食べるかだけを真面目に考える。皿が空けば迷いも終わるが、あの白鳥の気品だけは、こちらの都合よく記憶に残った。

プリンアラモード
プリンアラモード
プリンアラモード
プリンアラモード

ARCHIVE DATA

PLACE / EXPERIENCE

場所・会場
山の上ホテル コーヒーパーラー ヒルトップ
その他の事実メモ
当店について
コーヒーパーラーは山の上ホテル内地下1階にございます。席は50席。地下と言いましてもここは駿河台の丘の上に建つホテル。上り坂に面しているため実際は大きな窓があり、心地よい日差しが差し込む何とも温かい空間が広がっています。
そんな場所を愛して下さる多くのお客様のひとりに池波正太郎さんがいます。池波さんは通路側の水出しコーヒー機にいちばん近い席によく座られていたそうです。また、店内には池波さんが描いた絵がたくさん飾られています。
池波正太郎ファンの方々にはたまらない空間でしょう。
(当店について | コーヒーパーラー ヒルトップ 御茶ノ水・神保町)



山の上ホテルの プリンアラモード
¥2,000
昔ながらの濃厚なプリンに季節のフルーツとバニラアイスを添えた、伝統のデザート気品溢れる 白鳥のシューが華を添えます
(復刻 山の上デザート | コーヒーパーラー ヒルトップ 御茶ノ水・神保町)



ホテルニューグランド(横浜市中区)は、第二次世界大戦後は連合国軍最高司令官総司令部の将校宿舎として接収されていた。その期間中にホテルに宿泊していた甘いものを好むアメリカ人将校夫人のために考案された。横長の「コルトンディッシュ(クルトンディッシュ)」という前菜用の器が使われ、使用されるフルーツはアメリカ軍が持ち込んだものが多く使用されている。ホテルニューグランドでは今日でもコルトンディッシュに当時と同様のフルーツを盛り付けて提供している。
「ア・ラ・モード」は「洗練された」、「流行の」を意味するフランス語から取られている。この名称は、件の将校夫人によるもので、当時のリンゴは矢羽根を模した「アローカット」で提供されており、初めて見る繊細な技術に感動したためとされる。
(プリンアラモード - Wikipedia)
update: 2026年3月10日3:22 am

▲