オーストリア館ピアノ、夕陽丘高校へ

夕陽丘高校の音楽室に、万博の余韻が静かに流れ込んできた。オーストリア館で人々を魅了した、あのベーゼンドルファーと同型のピアノが、この春から高校生たちを待っているのである。

ウィーンの空気をそのまま閉じ込めたような「ウィンナートーン」。鍵盤に触れれば、柔らかな響きが波のように広がり、気づけば夢洲で耳にした万博の音色が胸によみがえる。屋根の内側には葛飾北斎の「神奈川沖浪裏」が描かれ、黒い艶の奥に、日本とオーストリアの不思議な縁が潜んでいる。

万博会場でこのピアノを見つめ、憧れの眼差しを向けていた子どもたち。その光景に心を動かされた人々が、未来へ音をつなぐために動き出した。だからこのピアノは単なる楽器ではなく、万博の記憶そのものなのである。

夕陽丘高校では、これから授業や演奏会でその音色が鳴り響くという。高校生たちの若い指先から、万博の続きを奏でる音が生まれていくと思うと、なんとも胸が熱くなる。
万博は終わった。しかし、あの半年間に生まれた音楽は、いま静かに学校の廊下を満たし、新しい未来へ向かって鳴り続けているのである。

万博で「弾いてみたい」と感激した子どもを目にし…ベーゼンドルファーを府立高校に提供
5/16(土) 14:17配信 読売新聞オンライン

 大阪・関西万博のオーストリア館に出展されたグランドピアノと同型のピアノが、大阪府立高で唯一音楽科のある夕陽丘高校(大阪市)に贈られた。名門ブランド・ベーゼンドルファー社製の限定モデルで、授業や学内演奏会で活用が予定されている。広告会社が「子どもたちに素晴らしいピアノを弾く機会を提供したい」と購入して無償貸与することを府に申し出て実現した。
 ベーゼンドルファーは1828年にウィーンで設立され、スタインウェイ、ベヒシュタインと並ぶ世界3大ピアノとされる。オーストリアと日本が1869年に国交を結んだ際、ベーゼンドルファーのピアノが贈られている。
 万博に出展したピアノは昨年、世界16台の限定品として約5000万円で発売されたモデル。「ウィンナートーン」と評される豊かな響きが特色で、屋根の内側に葛飾北斎の代表作「神奈川沖浪裏(なみうら)」の絵柄があしらわれている。1000曲以上の自動演奏を楽しめ、万博では優雅な音色で来館者を魅了した。閉幕後、オーストリアの宮殿と姫路城が姉妹提携している兵庫県姫路市が購入している。
 夕陽丘高への無償提供は、広告会社「アド・ダイセン」(大阪市)の大嶋禎社長(57)が万博会場で、「あのピアノを弾いてみたい」と感激する子どもを目にしたことがきっかけだ。同社は子どもを支援する社会貢献活動をしており、万博では、小学生から一般まで1万2000人以上が参加し、マーチングバンドのギネス世界記録に挑むイベントを関西吹奏楽連盟などと主催した。
 同社は、同型のピアノを購入して無償貸与することを府に提案。大嶋社長が万博会場で夕陽丘高生の合唱を聴いた縁もあり、同高に設置されることになった。校内にはピアノが約40台あるが、ベーゼンドルファーは初めてで、大嶋社長は「ピアノを活用し、思いを届ける1音を探究してほしい」と期待する。
(万博で「弾いてみたい」と感激した子どもを目にし…ベーゼンドルファーを府立高校に提供(読売新聞オンライン) – Yahoo!ニュース)

投稿日:2026年5月16日

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