• 万博閉幕から

日本館の解体工事も始まる

日本館の解体工事も始まる

万博の季節が過ぎ、夢の余韻だけが静かに地表に沈殿していく頃、日本館にもいよいよ別れの時が訪れた。
あの巨大な木の建物は、17日付で清水建設の手に託され、来年の晩秋までに解体されることとなった。費用は18億余――しかし、その数字の裏には、ただ壊すだけではない、もう一つの物語が潜んでいる。

日本館を形づくっていた鉄骨とCLTの木材。その木の量は約1580立方メートル。会期中、訪れた者たちの影と時間をそっと受け止めてきた板材たちが、今度は第二の旅に出る。地方自治体や企業に引き取られ、どこか別の土地で、新たな建物として息を吹き返すという。木が再び根を下ろすように、記憶もまた、場所を変えて根づいてゆく。

建設を担った清水建設が、解体も任されるのは当然といえば当然で、彼らだけが知る構造の秘密が、木材を傷つけず未来へつなぐための鍵となる。慎重に外されていく部材一つひとつは、まるで日本館が静かに衣を脱ぎ、やがてまた別の姿で立ち上がる準備をしているかのようだ。

閉幕後の静けさの中で、日本館はまだ旅を続けている。見に行きたくなるのは、その解体現場にもまた、万博の物語がこっそり息づいているからだろう。

万博パビリオン「日本館」の解体、施工の清水建設が担当…一部は希望する自治体や企業が再利用
11/19(水) 13:20配信 読売新聞オンライン

 大阪・関西万博で日本政府が出展したパビリオン「日本館」の解体工事について、近畿地方整備局は17日付で清水建設と随意契約を結んだ。費用は18億7330万円で、工期は来年11月20日まで。
 日本館は、鉄骨と約1580立方メートルのCLT(直交集成板)を組み合わせた構造で、CLTは解体後、希望する地方自治体や企業などによって再利用されることが決まっている。
 日本館建設の一般競争入札では、予定していた価格内での応札がなく、清水建設が随意契約で請け負った。建設費は143億9240万円だった。
 解体工事も随意契約とした理由について、同整備局は「再利用可能な状態で慎重かつ確実に解体を進める必要がある。新築施工を担当し、部材ごとのノウハウ・データを蓄積している元施工者(清水建設)以外には不可能」としている。
(万博パビリオン「日本館」の解体、施工の清水建設が担当…一部は希望する自治体や企業が再利用へ(読売新聞オンライン) – Yahoo!ニュース)

投稿日:2025年11月19日

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