
あの大屋根リングの下で、歓声と光が渦巻くその裏側に、静かな戦いがあった。華やかな未来の祭典を支えるために、幾百もの人々が、夜を徹して鉄骨を組み上げ、壁を塗り、電線を這わせていた。大阪・関西万博――その名にふさわしい壮大な夢の舞台は、現場の汗と執念で形づくられていたのだ。
フランスに本社を置く企業「GLイベンツジャパン」。彼らの手がけたいくつものパビリオンでは、完成を目前にして、支払いをめぐる不穏な影が忍び寄っていた。五億七千万円――その数字の重みは、単なる契約の数字ではない。現場で歯を食いしばり、無理を押して完成を間に合わせた職人たちの努力と信頼の結晶だった。
開幕二日前、夜明け前の薄明のなかで、奇跡のようにパビリオンが完成した。すべてのチェックを終えた瞬間、現場にいた者たちは声を上げて抱き合った。涙を浮かべながら、あるフランス人リーダーが下請けの社長に向かって頭を下げた。「ごめんな、間に合わせようと必死だった」と。社長は何度もうなずき、嗚咽をこらえながら笑った。あのとき確かに、人と人の間に信頼の光が宿っていた。
だが、約束の「精算」は訪れなかった。期日を過ぎても、一円の入金もない。やむを得ず訴訟という形で、その思いは司法の場に持ち込まれた。夢を形にした者たちが、現実の壁に打ち当たる。
セルビア館を建てた職人もまた語る。契約書のない追加工事を求められ、それでも「万博のために」と受けた日々のことを。巨大な祭典の光が強ければ強いほど、その影もまた濃く深くなる。
それでも私は、あの現場を見たいと思う。涙と誇りが入り混じった、その工事現場の地面にこそ、人間の真実が眠っている気がする。万博とは、きっと未来を夢見るだけの場所ではない。理想と現実のはざまで、それでも前へ進もうとする人々の物語なのだ。
万博の工事費未払い問題 元請け仏企業「我々は悪者ではない」
10/18(土) 12:38配信 テレビ朝日系(ANN)大阪・関西万博を巡る工事費の未払い問題で、提訴された「GLイベンツジャパン」の代表取締役がANNの取材に応じ「我々は悪者ではない」と主張しました。
「GLイベンツジャパン」は大阪・関西万博で日本の下請け業者3社から、合わせて5億7000万円余りの工事費を支払わなかったとして提訴されています。
一方、「GLイベンツジャパン」は「債務は存在しない」などと逆に3社を提訴しています。
「GLイベンツジャパン」の代表取締役は「我々は悪者ではない」と主張しました。
GLイベンツジャパン 代表取締役 オリビエ・フェラトン氏
「利益を守るため(司法で)行動している。悪者でも絶対に勝とうとする集団でもない。(大阪・関西万博で)100社ほどの下請け業者と仕事をしたが、うち3社と係争中である点を除けば、どの業者とも非常にうまくいった」
(万博の工事費未払い問題 元請け仏企業「我々は悪者ではない」(テレビ朝日系(ANN)) – Yahoo!ニュース)
万博パビリオン「建設費未払い問題」被害者の告白。追加工事費がまったく支払われない! 協会や行政はなぜ対応できないのか……?
10/24(金) 6:00配信 週プレNEWS10月13日に閉幕した大阪・関西万博。来場者数の増加により最大280億円の黒字が見込まれ、表面的には大成功を収めた。しかし、その陰で深刻な問題が発生している。それが「パビリオン建設費未払い問題」だ。
11ヵ国11パビリオン(アメリカ、アンゴラ、インド、ウズベキスタン、セルビア、タイ、中国、ドイツ、ポーランド、マルタ、ルーマニア)で建設費の未払いトラブルが発生し、被害を受けた建設業者は30社以上に上っている。
この問題で注目すべきは、未払いトラブルが発生しているうちの4ヵ国(マルタ、セルビア、ドイツ、ルーマニア)の元請けがフランスに本社を置く「GL events」の日本法人(以下、GL)となっていること。上記の4つのパビリオンすべてで訴訟問題に発展している。そのうちのひとつ、マルタ館の建設に携わった建設会社、事務局J0Kの高関千尋社長がこの問題について語ってくれた。
「2025年2月にマルタ館の看板制作を依頼されたんですが、当初は期間が短すぎると断ったんです。その後、どうしてもと言われて元請けのGLの下の1次下請けの建設会社のA社長に会いました。社長はまだ若く、どうしていいのかわからないといったような表情で疲れていましたね。建設もうまく進んでいないのがはっきりわかりました」
そして、開幕の2日前の4月11日に奇跡的にパビリオンは完成した。そのとき、忘れられない光景があったと高関社長は振り返る。
「全部のチェックをやり終えて完成が確認できた瞬間、みんなで抱き合って喜びました。そのとき、GLのリーダーが初めて1次下請けのA社長に向かって言ったんです。『ごめんな、俺も開幕までに間に合わせようと必死だった。これまできついこと言ったのを許してくれ』と謝ったんです。A社長は何度もうなずきながら泣いていました。私もそのシーンを見て、目頭が熱くなりました。
そしてGLのリーダーは『すぐに精算に入るから』と任せてくれとばかりにA社長に告げていました。当然、約束どおり開幕までに間に合わせたんですから、支払われると思っていたんですが」
その後、A社長の会社には1円も入金がなく、やむをえず6月にGLを訴える事態となった。その他の事例として、8月末、セルビア館の建設などを行なった建設会社レゴの辻本敬吉社長からも話が聞けた。
「もともと中国館の基礎工事の一部を受けてやり終えていた頃、その実績を評価されてGLさんから声がかかったんです。GLさんはフランスの大きな会社。そんな会社と万博の仕事ができるのは、やりがいがあると思いました」
「当然GL側に追加工事をやることに合意します、了承しますというサインを求めました。ただ、GLはサインをしない。何かと理由をつけて断ってくるんです。つまり、署名なしの追加工事を求めてきたわけです。
普通の現場なら、そんなことをされたらそこで工事をやめて引き上げますよ。しかし、この工事は万博という国家事業。それに、パビリオンもその国の威信がかかっている。ここで工事をやめるわけにはいかないという思いがありました」
そんな中、開幕が近づく2月にフランスのGL本社から担当の役員がやって来る。
「その担当役員に念を押しました。『追加工事で3億円ほど多くかかっている』と。すると役員は『本社には今回の工事は追加工事がたくさんあって赤字だということは伝えて、ちゃんとOKをもらっている』と答えていました」
かくして、工事は無事開幕前に完了。引き渡しも終わり無事開幕を迎えることができた。ところが……。「追加工事の費用は一切入金なしです。問い合わせると『追加工事? なんですかそれ。これ以上追加して支払うものはないです』という、しらばっくれたような返事が返ってきました。明らかな手のひら返しですね」
(万博パビリオン「建設費未払い問題」被害者の告白。追加工事費がまったく支払われない! 協会や行政はなぜ対応できないのか……? (週プレNEWS) – Yahoo!ニュース)
万博海外館の建設費未払い主張額はトータル10億円超、下請けが外資系元請け相手に訴訟も
2025/11/4 17:30 産経ニュース大阪・関西万博の一部海外パビリオンの解体工事では、建設時における費用の未払い問題が影響を及ぼす形となった。関係者によると、未払い被害を訴える業者は30社以上で、総額は10億円超に達する。トラブルは少なくとも11カ国の海外館で確認されたが、発注側との間で法廷闘争に発展するケースもあり、解決の糸口は見えない。
このうち、マルタ、セルビア、ルーマニア、ドイツの各館では外資系イベント会社「GLイベンツ」の日本法人が元請けで工事を受注。追加費用など建設費の支払いをめぐり、下請け業者側との訴訟に発展した。
(万博海外館の建設費未払い主張額はトータル10億円超、下請けが外資系元請け相手に訴訟も – 産経ニュース)
万博海外パビリオンの解体に暗雲も 建設費の未払い問題がネック、専門業者側が契約を敬遠
2025/11/4 17:00 産経ニュース10月13日に閉幕した2025年大阪・関西万博(大阪市此花区)の解体工事をめぐり、一部の海外パビリオンで判明した建設費の未払い問題がネックとなり、契約を敬遠する動きが業界内で目立っている。解体費用を回収できないことへの懸念が主な理由。出展国側は来年4月中旬までに解体を終え、敷地を日本国際博覧会協会(万博協会)側に返還しなければならないが、産業廃棄物の処分問題も重なり、スムーズな解体に暗雲が垂れ込めている。
解体業者など74社で構成する大阪府解体工事業協会は万博閉幕を目前に控えた9月26日、パビリオンの解体工事を円滑に進めるための環境整備を求めて、万博協会に上申書を提出した。
建設費の未払い問題が起きたのは、出展国側が独自にデザインした「タイプA」と呼ばれる海外館。少なくとも11カ国の元請け業者などとの間でトラブルが確認された。
このうち4カ国のパビリオンでは、外資系イベント会社の日本法人が元請けとなる形で主に建設と解体を一括で受注したが、下請け業者側が建設費の未払いを主張し、訴訟に発展している。
同工事業協会の名和祥行代表理事は「協会員から不安や問題を感じるとの声が出ている。解体完了までが万博だと思うので、問題が起こらないようお願いしたい」と万博協会側に求めている。
(万博海外パビリオンの解体に暗雲も 建設費の未払い問題がネック、専門業者側が契約を敬遠 – 産経ニュース)
「責任は吉村知事にある」大阪・関西万博“建設費未払い問題”で下請け業者らが救済を訴え
11/4(火) 18:03配信 弁護士JPニュース11月4日、大阪・関西万博における海外パビリオンの建設工事費の未払い問題をめぐり、被害を訴える建設会社の代表らとジャーナリストが東京都内で記者会見を開いた。
未払いが発生しているのは11か国(アンゴラ、インド、ウズベキスタン、セルビア、タイ、中国、ドイツ、米国、ポーランド、マルタ、ルーマニア)のパビリオン建設工事費。
建設会社38社が未払いを訴えており、被害額は10億円を超えているという。
問題を取材・調査してきたジャーナリストの西谷文和氏によると、未払いは2次以降の下請けに入っていた会社が工事代金を持ち逃げしたケースと、同じく2次以降の下請けに入っていた会社が倒産したケースとに大別される。
7月にはアンゴラ館の3次下請けをしていた建設会社「一六八(いろは)建設」(大阪市鶴見区)の経理担当者が、工事代金など1億2000万円余りを着服したとして大阪府警に刑事告訴・告発された。8月には建設業法違反容疑で同社の代表宅などが捜索されている。
また、アメリカ館の2次下請けをしていた建設会社「有限会社ネオ・スペース」(東京都足立区)は5月に破産申請し、倒産した。
いずれのケースでも、実際に未払いの被害を受けたのは、3次や4次などの下位請負で工事に携わっていた零細・中小企業だ。
「業者の皆さんは、必死になって(工事を行い)、万博まで間に合わせた。それなのにお金が支払われないのはひどいと思う。
私たちは、国や大阪府、万博協会にとりあえず(未払い建設費の)建て替えを求めているが、現在まで支払われていない」(西谷氏)
(「責任は吉村知事にある」大阪・関西万博“建設費未払い問題”で下請け業者らが救済を訴え(弁護士JPニュース) – Yahoo!ニュース)
万博海外館の「解体ストップ」訴えも、証拠保全目的に 業界は参入に細心の注意を呼びかけ
2025/11/4 17:50 産経ニュース万博の一部海外パビリオンの解体工事をめぐっては、証拠保全などの観点から、工事の実施に慎重な取り扱いを求める動きも相次いでいる。
大阪府解体工事業協会の関係者によると、ある海外館で建設費が未払いだと訴える下請け業者から10月上旬、解体工事を当面実施しないよう求める文書が届いた。
この業者は、建物の解体によって、施工に携わった証拠がなくなることを懸念。同工事業協会への申し入れが「筋違い」と自ら認めつつも、工事代金が支払われるまでの間、解体をストップするよう求めている。
(万博海外館の「解体ストップ」訴えも、証拠保全目的に 業界は参入に細心の注意を呼びかけ – 産経ニュース)
【万博建設費未払い問題】当事者らが海外メディアに「必死の思い」を訴え 特派員協会会員は「政府や大阪府はすぐにでも動くべき」
11/4(火) 19:10配信 MBSニュース万博閉幕後も続くパビリオンの建設費の未払い問題。当事者からの訴えに、海外メディアの反応は。
10月13日に閉幕した大阪・関西万博。パビリオンの解体や撤去作業は進められていますが、11の海外パビリオンの建設に関わった業者のうち30社以上が、工事費用がいまだに支払われていないと訴えています。
訴えているのは主に下請け業者で、支払いを求める金額は元請けの海外企業を提訴したケースだけでも計5億円以上にのぼります。
提訴されている海外企業の1つは、取材に対し、「係争中につき詳細は差し控えさせていただきます」としています。また、博覧会協会や大阪府などは、「民間同士のトラブル」だとして立て替え払いや資金繰りの支援などはできないとしています。
こうした中、当事者でつくる「被害者の会」は11月4日、海外でも問題を知ってもらおうと日本の特派員協会で会見を開きました。
(マルタ館建設2次下請け・高関千尋さん)「日本で起こっている問題、トラブルを確実に(海外企業の)本社にも理解させるためには海外のメディアの協力が必要」
(アメリカ館建設3次下請け・岸田宗士郎さん)「今回の件で日本政府が本当に信用できないと思いました。日本の闇を世界に発信して頂きたいなと思います」
(【万博建設費未払い問題】当事者らが海外メディアに「必死の思い」を訴え 特派員協会会員は「政府や大阪府はすぐにでも動くべき」(MBSニュース) – Yahoo!ニュース)