
夢洲の空を抱きしめていた大屋根リングは、いまや新たな旅支度を整えている。半年のあいだ世界の目を集めたあの木の輪は、閉幕とともに静かに解体され、その一部が遠く能登の地へ渡ることになった。ゆらめく海を越えて、再び誰かの暮らしを支えるために。
行き先は石川県珠洲市。去年の能登半島地震で深く傷ついた町だ。瓦礫と化した家々のあいだから、再び人の笑い声が戻る日を願って、珠洲市は万博協会に名乗りを上げた。「復興公営住宅の資材として使いたい」と。先月、その願いは叶えられた。協会から届いた通知には、たったひとつの言葉――「無償譲渡」。大屋根リングは、ただの木材ではなく、希望の使者として旅立つことになった。
譲られる木材はスギとヒノキ、約1500本。夢洲で人々の頭上を覆っていた梁や柱が、今度は珠洲の空の下で屋根を支える。復興住宅700戸。そのどれかの窓辺で、きっとあの木が再び光を受けるだろう。祭りの残響を胸に秘めたまま、静かに新しい暮らしを見守る。
大阪の地で「未来の象徴」として生まれた木々が、いま「再生の象徴」として旅立つ。吉村知事はこの取り組みを「レガシーの理想形」と称えたが、それ以上に美しいのは、人と木がもう一度手を取り合おうとする姿そのものだ。
風にさらされ、光に焼かれ、幾千の足音を聞いた木材たちは、やがて珠洲の町で新しい息を吹き返すだろう。未来は、夢洲から能登へとつながっている。木の香りに包まれたその線を辿ってゆくと、人の営みのやわらかい強さが、静かに浮かび上がってくる。
関西万博の大屋根リングが珠洲市の復興公営住宅の資材に…来年3月頃から順次、珠洲市へ
10/3(金) 18:35配信 石川テレビ万博会場を取り囲む、世界最大の木造建築物「大屋根リング」は閉幕後に一部を会場に残す一方、残りの木材は解体され、希望する自治体などに無償で譲渡される方針が示されていました。
その譲渡先として決まったのが、去年1月の能登半島地震で大きな被害を受けた珠洲市です。
珠洲市によると今年8月、「復興公営住宅の資材などに利用したい」と応募したところ、先月29日に博覧会協会から「無償で譲渡する」という通知が届いたということです。
吉村大阪府知事:
「復興住宅で活用されるということは活用のレガシーの在り方として僕はすばらしい取り組みだと思いますし、大屋根リングが復興住宅として次につながると期待する。」
大屋根リングの梁や柱など1535本の木材は来年3月ごろから順次、珠洲市に届けられる見通しです。
(関西万博の大屋根リングが珠洲市の復興公営住宅の資材に…来年3月頃から順次、珠洲市へ(石川テレビ) – Yahoo!ニュース)
万博リング、閉幕後一部保存 能登復興住宅に活用も
10/14(火) 7:05配信 時事通信世界最大の木造建築物「大屋根リング」は、北東の約200メートル分がレガシー(遺産)として会場跡地に保存される。
また、9月末には、残りの木材の一部について、昨年の能登半島地震と豪雨で甚大な被害を受けた石川県珠洲市が復興公営住宅の建設資材として使用することが決まった。
珠洲市が復興公営住宅に使用するのは、リングの約1200立方メートル(約1500本分)の木材。同市は、700戸の仮設住宅を建設する必要があり、万博で大人気だったリングの木材を活用することで、復興の象徴の一つとしたい考えだ。
(万博リング、閉幕後一部保存 能登復興住宅に活用も(時事通信) – Yahoo!ニュース)
大阪・関西万博の「大屋根リング」木材を石川・珠洲市の復興公営住宅などに活用へ 「いいねぇ」市民からは歓迎の声も
2025年10月1日(水) 18:14万博会場のシンボル「大屋根リング」の木材が、石川県珠洲市で復興公営住宅などの事業に活用されることになりました。
使用された木材は2万7000立方メートルで、25メートルプールおよそ70杯分です。13日の閉幕後は、一部を除いて解体されることが決まっています。
万博協会は解体後の木材を無償で譲渡することにしていて、珠洲市が8月、応募していました。
珠洲市によりますと、9月30日に譲渡決定の通知を受け、市は今後、木材を復興公営住宅の建設資材や公共施設に転用するなど復興事業で再利用する方針です。
珠洲市民「大阪万博の屋根が来るって。いいねえ、だって材料もいいの使っているだろうから良い話ではないか」「(復興公営住宅が)良いものになればとやかく言わない」
(大阪・関西万博の「大屋根リング」木材を石川・珠洲市の復興公営住宅などに活用へ 「いいねぇ」市民からは歓迎の声も | 石川県のニュース|MRO北陸放送 (1ページ))
万博の大屋根リング、能登の復興住宅に 一部を活用「レガシー継承」
2025年10月2日 17時00分 朝日新聞10月13日に閉幕する大阪・関西万博のシンボル「大屋根リング」の木材の一部が、昨年1月の能登半島地震で大きな被害を受けた石川県珠洲市で、災害公営住宅の建築資材として再利用されることになった。
大屋根リングは、主にスギやヒノキの集成材で建てられている。大阪市は、1周2キロのうち200メートルを残して取り壊す方針を示しており、日本国際博覧会協会が、木材を再利用するため譲渡先を公募し、珠洲市が8月に応募していた。
協会と市によると、譲渡は無償で、譲渡される木材は約1500本(約1200立方メートル)。市内では、災害公営住宅が計約700戸整備される予定で、その建材に使われるという。
市環境建設課の担当者は「国際的な舞台で活躍した資材に第二の活躍をしてもらう。万博の理念やレガシーを継承することで、復興の光になってほしい」と話した。
(万博の大屋根リング、能登の復興住宅に 一部を活用「レガシー継承」 [石川県] [能登半島地震][大阪・関西万博2025]:朝日新聞)