• 万博閉幕から

tokyo1970万博体験記 ㊳ナウル

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夢洲の海風を抜けてコモンズBに足を踏み入れると、ふいに現れる一角がある。小国ナウルのブースだ。名を聞けば南太平洋の島国、だがその響きに馴染みのある者はどれほどいるだろう。私も例外ではなかった。

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SNSで盛んに囁かれる噂に背中を押され、好奇心だけを手土産に扉をくぐる。すると、まばゆい白をまとった少年が立っている。潮の香りを運ぶ風そのもののような存在感に迎えられ、心は早くも島の空気を吸い込み始める。

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奥へ進むと、ナウルを象徴するキャラクター「ナウルくん」が愛嬌たっぷりに待ち構えている。どこか気まぐれな表情が、遠い国の輪郭をぐっと近く引き寄せる。

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展示は派手さこそないが、燦々とした日差しや珊瑚礁の海を想像させる写真、歴史を語るパネルが小さな会場を満たし、来場者を静かに揺さぶる。

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もし万博がなければ、ナウルという国名を知ることもなく、ましてやその笑顔に触れることもなかっただろう。だがこの瞬間、世界の片隅から届いた小さな物語が、私の中で確かな存在へと息づき始める。巨大なパビリオンが未来を語る一方で、ひときわ小さな島国が淡い光を放ち、人々を惹きつけて離さない。これこそが万博の魔法だと、胸の奥でそっと呟きながら、私はナウルへの小さな旅の余韻を名残惜しく抱え、次なる世界への扉を探しに歩き出した。

投稿日:2025年9月20日

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