
大阪・関西万博という、夢の器のような祭典の裏側で、ひそやかに蠢いている物語がある。空に近い大屋根の下、人々は未来の幻影に酔い、煌びやかなパビリオンの列に心を躍らせる。しかし、その輝きの影では、支払いの滞りという名の亡霊が、静かに下請け業者の足元を冷たく撫でている。
国は「万博貿易保険」なる奇策を打ち出した。それは、火急のときにだけ現れる一種の魔法のようで、たとえ海外の政情が荒れ狂おうとも、金銭の流れを救済するという仕組みだ。理屈では完璧。しかし現場は常に理屈の外にある。
発注元の外国政府、仲介の外資系企業、さらには1次・2次・3次・4次と続く下請けの連鎖。その末端にいる者たちは、果たしてこの保険の存在を知っていたのか。あるいは、その網にかかっていたのか。
実際、マルタ館の建設を担った業者は、工期の遅れや施工不備を理由に、報酬の支払いを拒まれたという。金と契約が絡むと、華やかな祭典すらも泥の舞台となる。
この国のために、万博のために、という想いが、どこかで断ち切られようとしている。だがそれでも、誰かが光の中へ歩き出さなければ、未来はただの飾りに終わる。夢を支える土台の歪みは、今まさに修復を迫られているのだ。
協会では万博の安全・安心な遂行を実現し、万一の事故発生に対する経済的な補償を確保するため、損害保険を付保(手配)します。
広く公募により、損害保険を提案しうる事業者(保険種類ごとの幹事保険会社)の選定を目的とし、あわせて非幹事保険会社(提案不要)の募集(申込)を行うものです。
1.事業名称
「2025年日本国際博覧会 損害保険付保」事業
2.公募期間
2024年 5月 9日(木)から2024年6月5日(水)まで
3.提案金額の上限額
ア 賠償責任保険 240,000千円(税込)
イ 財産保険 220,000千円(税込)
ウ 動産総合保険 38,000千円(税込)
(【更新】「2025年日本国際博覧会 損害保険付保」の公募について | EXPO 2025 大阪・関西万博公式Webサイト)
【訴え】「“民民”の問題として救済もしない」“国家プロジェクト”万博で相次ぐ工事費の未払い 150人近くが生活に追い込まれる中、外資系の元請け業者が主張する驚きの言い分
6/20(金) 20:00配信 読売テレビ一般来場者数が680万人(2025年6月17日現在)を突破し、連日にぎわいをみせている大阪・関西万博。一方、相次ぐ工事費未払い問題で、いまだ開館していないパビリオンも…。2025年6月13日、海外パビリオンの建設工事を担当する業者たちが会見を行いました。なぜ未払いが起きるのか?解決の糸口は?弁護士・野村修也氏の解説です。
万博のパビリオン建設には、参加国(クライアント)→外資系業者など(元請け)→建設業者・下請け(1次→2次→3次→4次)と、いろんな業者が携わっています。
『万博保険』とは?
実は、外国政府などから発注された日本の工事業者が入れる保険(万博保険)があります。未払いが起きたとき、保険で工事費の全額もしくは大部分が補償されるというものです。しかし、弁護士・野村修也氏は、万博協会の説明が十分だったのかを指摘します。
(弁護士・野村修也氏)
「下請け業者は大きな会社ではないので、ちゃんと説明を受けて万博保険に入っていたのかどうかは、1つ大きな問題です。また、貿易保険のスキームを使っているので、日本企業同士(1次下請け・2次下請け間など)には適用できません。結局、連鎖倒産が起こる危険性があります」
未払いが起きた原因について、『マルタ館』の下請け業者は会見で、「弊社では、わからない状態。ただ、元請けの言い分では、『指定された期日までに間に合わなかった』『工事の不具合』『クオリティーが悪かった』など様々な理由で、弊社の不履行という形で主張している」と語りました。元請け業者側は、“クオリティーを満たしていない”として支払いを拒んでいるといいます。
(野村弁護士)
「『工事が遅れた、または不良だったから、他に費用がかかったので、その費用と相殺する』などは、外国の元請け業者がよく使う言い分で、それで未払いに持ち込むのが常套手段です。しかし、そんなことは絶対にあり得ないので、その言い分を塞いで相殺させないようにしなければいけません。やり方としては、国や万博協会が肩代わりして払うことを考えた上で、国や万博協会が外国のクライアント・元請けに対して請求していかないと、連鎖倒産は免れないと思います」
(「情報ライブ ミヤネ屋」2025年6月17日放送)
(【訴え】「“民民”の問題として救済もしない」“国家プロジェクト”万博で相次ぐ工事費の未払い 150人近くが生活に追い込まれる中、外資系の元請け業者が主張する驚きの言い分(読売テレビ) – Yahoo!ニュース)
【ナゼ】万博開幕後もネパール館の工事ストップ!「期日までに支払う」言葉信じて業者“持ち出し”も…一国の“政府”相手に「未払いリスクあると思わず」関係者が明かす裏側
4/27(日) 9:00配信 読売テレビこの間、関係者はただ指を加えて見ていたという訳ではなく、水面下では様々な交渉が行われた。ネパール政府と工事業者、万博協会、さらには日本政府を交えた4者が、支払いの催促を何度も行ったが、ネパール側はその度に「期日までに払う」と繰り返し、その言葉を信じてしまったという。
万博協会は、海外参加国の未払いへの対応として、政府が100%出資する「日本貿易保険」による『万博貿易保険』というものを用意していた。
具体的には、参加国の国内情勢の変化によって、建設費などが払えなくなるリスクがあったとき、その大部分を補填するというもの。この貿易保険に契約しておけば、未払いやトラブルが起きたときに、工事費の全額もしくは大部分が補填される。
ところが、今回、未払いとなっている受注業者はこの保険には入っていなかったという。いくら海外とはいえ、相手は一国の「政府」で、「未払いのリスクがあるとは思わなかった」と関係者は明かす。
(【ナゼ】万博開幕後もネパール館の工事ストップ!「期日までに支払う」言葉信じて業者“持ち出し”も…一国の“政府”相手に「未払いリスクあると思わず」関係者が明かす裏側(読売テレビ) – Yahoo!ニュース)
万博パビリオン建設に新保険 政府、受注促し準備加速
2023年7月28日 18:00政府は全額出資の日本貿易保険(NEXI)を通じて2025年国際博覧会(大阪・関西万博)に出展する国・地域のパビリオン建設を促す保険を新設する。物価高や人手不足などで工事が進まず、準備の遅れが指摘されている。発注元の建設代金の不払いリスクを下げ、国内建設会社の受注を後押しする。
(大阪万博パビリオン建設に新保険 政府、受注促し準備加速 – 日本経済新聞)
「万博貿易保険」の提供開始 売掛金不払リスクを補償
2023年8月7日 16:59日本貿易保険(NEXI)は8月2日、大阪・関西万博(2025年日本国際博覧会)の海外パビリオン建設を行う日本企業をサポートする目的で「万博貿易保険」を創設し、提供を開始した。同保険の利用により売掛金の不払リスクを補償することが可能となる。経済産業省ではカントリーリスクに不安を抱く建設事業者に対し、利用を呼び掛けている。
「万博貿易保険」は、大阪・関西万博の海外パビリオン建設工事で工事費用などが回収不能になった場合に、その費用を補償するもの。外国の政府機関によるカントリーリスクでは、▽外貨規制が導入され日本に送金できない▽外貨不足により発注者が外貨兌換(引き換え)できない▽経済制裁により資金の授受ができない▽相手国で内乱が発生し金融システムが停止した―などの場合に、費用の95.7~100%を補償する。(※参考:NEXIカントリーリスクマップ )
外国の民間企業に起因するコマーシャルリスクについては、破産や資金不足による遅延などのケースで90%を補償。ただし、契約相手方のNEXIバイヤー格付によっては補償されないケースもある。
対象は、海外パビリオンを建設する日本企業で、契約の相手方が外国法人などの場合。受注案件数1件から利用可能で、受注案件全件で利用した場合は、通常の3分の1程度の保険料が適用される。保険料は国・相手方・決済条件などにより異なる。
NEXIは100%政府出資の特殊会社。保険事故が多発し、NEXIの資金調達が困難な場合には、政府が必要な財政措置を講ずることができる。また、重要案件については国がNEXIに対して意見を述べることも可能となっている。
(「万博貿易保険」の提供開始 売掛金不払リスクを補償 | 新建ハウジング)
「保険料」は通常の3分の1程度に… 海外パビリオン建設が遅れる万博 建設業界の支払い不安解消へ 国が「万博貿易保険」を創設
2023年8月7日 月曜 午前9:30 関西テレビ建設の遅れが指摘される、大阪・関西万博の海外パビリオンをめぐり、国は建設会社のリスクを軽減する保険を創設すると発表した。
開幕まで2年を切った、大阪・関西万博。 しかし、目玉の1つである海外パビリオンは、準備期間の短さや、資材の高騰などの影響で業者が決まらず建設が遅れていて、これまでに工程表を含む基本計画書を提出したのは、韓国だけだ。
国も危機感を募らせる中、2日に打開策として発表されたのが「万博貿易保険」の創設だ。
「万博貿易保険」は、パビリオンの建設工事を受注した会社を対象とし、契約した参加国から代金が支払われない場合、全額または大部分を保障する。
これまでに、建設業界からは支払いの際のトラブルへの不安の声が出ていて、国はこうしたリスクを軽減させることで、準備の遅れを取り戻したい狙いだ。
(「保険料」は通常の3分の1程度に… 海外パビリオン建設が遅れる万博 建設業界の支払い不安解消へ 国が「万博貿易保険」を創設|FNNプライムオンライン)
大阪万博 海外館建設に保険 準備遅れで国が支援強化
2023.08.02 22:00 テレ東BIZ準備の遅れが目立つ、大阪・関西万博のパビリオン建設をめぐり、経済産業省は国内の建設業者を対象とした、「万博貿易保険」を創設することを決めました。加入すれば、発注元の参加国側から工事代が支払われない場合に、代金の9割以上が補償されます。万博では、およそ50の国や地域がパビリオンを建てる計画ですが、資材価格や人件費の高騰などを背景に、建設業者との契約が難航しています。未払いのリスクを軽減することで、建設の加速につなげる狙いです。
(大阪万博 海外館建設に保険 準備遅れで国が支援強化|テレ東BIZ)
国が「万博貿易保険」を創設 リスク軽減で海外パビリオンの建設遅れを取り戻せるか 大阪・関西万博
2023年08月03日 関西テレビ放送 カンテレ建設の遅れが指摘される、大阪・関西万博の海外パビリオンをめぐり、国は建設会社のリスクを軽減する保険を創設すると発表しました。
開幕まで2年を切った、大阪・関西万博。 しかし、目玉の1つである海外パビリオンは、準備期間の短さや、資材の高騰などの影響で業者が決まらず建設が遅れていて、これまでに工程表を含む基本計画書を提出したのは、韓国だけです。
国も危機感を募らせる中、2日、打開策として発表されたのが「万博貿易保険」の創設です。
「万博貿易保険」は、パビリオンの建設工事を受注した会社を対象とし、契約した参加国から代金が支払われない場合、全額または大部分を保障します。
(国が「万博貿易保険」を創設 リスク軽減で海外パビリオンの建設遅れを取り戻せるか 大阪・関西万博 | 特集 | ニュース | 関西テレビ放送 カンテレ)