ずっと行きたいと思っていた野宮真貴のライブである。今回はゲストが小泉今日子と知り、これは行こうと情報を探したのだが、押っ取り刀とはまさにこのことで、すでに満席だった。
東京の夜は、こちらが気づくまで席を取っておいてはくれない。それでも諦めが悪いので何度かチケット画面を見ていたら、キャンセルが出たのか、あるとき一席だけ空きが現れた。奇跡的に取れた、ということにしておく。
2026年3月5日、約1年ぶりのBillboard Live TOKYOである。公演名は「女は女である。」~野宮真貴デビュー45周年前夜祭&バースデー・ライブ~。大野由美子、吉村由加、田渕ひさ子、武田理沙による女性だけのバンドで、題名どおりの顔ぶれがステージに揃っていた。
「私の全て」で始まり、「20th Century Girl」「Sunday Girl」と続く。前夜祭といっても、こちらは満席の画面を何度も覗いてようやく座っているので、前夜だからと控えめに構えるつもりはない。早々にしっかり楽しむ態勢である。
ゲストの小泉今日子が登場すると、オーラがすごい。便利な言葉で片づけているようだが、実際に目の前へ現れたときは、まずそれしか出てこなかった。そして「なんてったってアイドル」まで歌う。今でもアイドルなのであった。
野宮真貴と小泉今日子が並び、その後ろには女性だけのバンドがいる。「女は女である。」という題名をあらためて説明されなくても、すでにステージ上に答えが出ている。「我が名はグルーヴィー」「Twiggy Twiggy」と進む間も、この日の顔ぶれを眺めているだけで忙しかった。
「東京は夜の7時」では、ステージ後方のカーテンが開いていた。窓の向こうに本物の東京の夜景が見え、その東京を背景に野宮真貴が歌う。曲のために街を用意したわけではないのに、こちらから見ると、街のほうがきちんと出演している。
実際の時刻が何時だったかより、歌っている間は「東京は夜の7時」でよい。窓の外まで含めて曲を聴けるのはBillboard Live TOKYOならではで、約1年ぶりに来ても、やはりいいと思う。とりわけこの曲には、カーテンを開けておく理由がありすぎた。
アンコールでは、小泉今日子と「あまちゃん」の歌、「潮騒のメモリー」。さらに「三月生まれ」「陽の当たる大通り」まで続き、アンコールも盛りだくさんだった。3月のバースデー・ライブで「三月生まれ」を聴くという、収まりのよさもある。
満席でいったん諦めかけた夜に、たまたま一席だけ現れた。その席から小泉今日子の「なんてったってアイドル」を見て、ピチカート・ファイヴの曲を聴き、カーテンの向こうの東京まで眺めたのだから、何度も画面を確認した執念には十分な見返りがあった。キャンセルだったのかどうかは最後までわからないが、都合よく奇跡の一席ということにして帰った。