
夢洲の夜は、突如として巨大な野営地へと姿を変えた。8月13日の夜、大阪・関西万博の会場と街を結ぶ唯一の地下鉄が電気系統のトラブルで停止したのだ。会場に集っていた人々は出口を失い、島に取り残された。午後9時半の時点でおよそ4万9000人が夢洲に滞留し、そのうち約3万8000人が地下鉄利用者だったという。予約したバスやタクシーを待つ者もいたが、結局、約1万1000人が翌朝まで会場や周辺で一夜を明かした。
夜の夢洲を埋めたのは、立ち尽くす群衆のざわめきと、橋を渡って徒歩で島外を目指す人々の足音である。徒歩での帰宅は本来想定されていなかったが、協会の情報発信が遅れ、各々が自らの帰路を模索することになった。スマートフォンの位置情報の解析は、その混乱の軌跡を赤裸々に映し出している。
原因はレールの継ぎ目付近に付着した鉄粉と延焼防止シートがショートしたためとされる。電車が再び動き出したのは翌14日午前5時25分、最後の観客が会場を後にしたのは6時55分であった。万博は未来を示す夢の舞台であるはずが、この夜ばかりは人々を現実へと引き戻し、夏の空気に混じって疲労と不安が立ちのぼった。それでもなお、この出来事は「夢洲に眠った夜」として、万博の一頁に深く刻まれることになった。
万博帰宅困難トラブル、1.1万人が朝まで滞留 試算結果公表
8/22(金) 12:46配信 毎日新聞大阪・関西万博の会場で13日夜から14日朝にかけて多数の客が帰宅できなくなった問題で、日本国際博覧会協会(万博協会)は22日、14日午前5時の時点で約1万1000人が一夜を明かしたとの試算結果を公表した。万博協会は14日午前0時時点では、会場一帯に約3万2000人が滞留していたとの推計も明らかにした。
14日未明も大阪メトロ四つ橋線などが運転を続け、大阪市内中心部まで移動はできた。その先の交通手段がない人が、パビリオン内や大屋根「リング」の下などで夜を明かす選択をしたとみられる。
(万博帰宅困難トラブル、1.1万人が朝まで滞留 試算結果公表(毎日新聞) – Yahoo!ニュース)
大阪・関西万博“13日の帰宅困難 1万人以上が朝まで会場に”
2025年8月22日 16時42分 NHK今月13日の夜、大阪・関西万博の会場につながる地下鉄が運転を見合わせ、多くの来場者が帰宅困難となった問題で、博覧会協会は翌日の朝まで会場内にとどまった人の数が、スタッフを含めて1万人以上にのぼったことを明らかにしました。
今月13日、大阪・関西万博の会場につながる唯一の地下鉄が、万博の営業時間の終了直前に運転を見合わせた影響で多くの来場者が帰宅困難になり、代わりの交通手段の確保や会場で一夜を過ごす人への対応の遅れが課題となりました。
博覧会協会は22日、記者会見を開き、地下鉄が止まった時点で会場周辺にとどまっていた人が、スタッフを含めて推計でおよそ4万9000人、翌日の朝まで会場内に滞在した人が、およそ1万1000人にのぼったことを明らかにしました。
(大阪・関西万博“13日の帰宅困難 1万人以上が朝まで会場に” | NHK | 大阪・関西万博)
大阪メトロ中央線トラブルで万博会場周辺に3・8万人足止め、1・1万人は一夜明かす…多数が夢洲から徒歩で脱出
8/23(土) 11:02配信 読売新聞オンライン大阪・関西万博の来場者が13日夜、大阪メトロ中央線のトラブルで帰宅困難となった問題で、会場の人工島・夢洲(ゆめしま)(大阪市此花区)から徒歩で橋を渡り、島外に移動する人たちが多数いたことが、スマートフォンの位置情報の分析でわかった。通常は徒歩での帰宅は想定されていないが、交通手段についての日本国際博覧会協会(万博協会)の情報発信が遅れたため、徒歩移動を選んだ人が多かったとみられる。
会場に直結する大阪メトロ中央線では13日午後9時半頃、電気系統のトラブルで全線が運行を停止した。万博協会は22日、この時点で会場内や周辺で約3万8000人が足止めされ、約1万1000人が一夜を明かしたと推定されると発表した。
中央線は13日午後10時10分に最寄りの夢洲駅と、隣にあるコスモスクエア駅との間で運転を再開した。同駅から別の路線を経由して大阪市中心部までの迂回(うかい)ルートが確保されたが、万博協会が中央線の運行情報を公式アプリなどで周知したのは翌14日午前1時を回ってからだった。万博協会は、夢洲駅に人が殺到するのを懸念したとしている。
読売新聞は、ソフトバンク系情報サービス会社「Agoop(アグープ)」(東京)からスマホアプリの位置情報に基づく13~14日の会場や周辺の滞在人口のデータ、移動状況の動画の提供を受けた。個人情報は含まれていない。
帰宅困難者のための備蓄物資は、朝になって飲料水のペットボトルが配布されただけだった。今後はモバイルバッテリーやおむつなども含め、迅速な提供を目指す。
(大阪メトロ中央線トラブルで万博会場周辺に3・8万人足止め、1・1万人は一夜明かす…多数が夢洲から徒歩で脱出(読売新聞オンライン) – Yahoo!ニュース)
万博の大規模足止め、1.1万人が会場で一夜 マイカー迎えを容認へ
2025年8月22日 18時00分 朝日新聞大阪・関西万博の会場周辺で、大阪メトロの運転見合わせで起きた来場者の大規模な足止めをめぐり、日本国際博覧会協会は22日、会場周辺で一夜を明かした人が約1万1千人だったと明らかにした。協会は今後、同様のトラブル発生時はマイカーなどで迎えに来られる仕組みを導入する。
運転見合わせは停電によるもので、13日午後9時半ごろ発生。電気を供給するレールの継ぎ目付近の延焼防止シートに鉄粉などが付着し、ショートしたのが原因とみられる。翌14日午前5時25分に全線で運転が再開し、全員が会場を出たのは同6時55分だった。
足止めの影響を協会が精査した結果、発生時点でスタッフら関係者も含めて約4万9千人が会場と周辺にいたと推計。これまで協会は、約3万人としていた。そのうち、予約していたタクシーやバスを待っていた人らを除く、大阪メトロの利用者は約3万8千人だった。翌朝の運転再開まで約1万1千人が会場と周辺に滞在していた。
協会は今後の対策として、同様のトラブル発生時にマイカーで家族らを迎えに来られるようにするため、万博会場の夢洲の隣にある人工島・舞洲のパーク&ライド駐車場(3千~4千台収容)などを開放する。
協会の高科淳副事務総長は「一斉に多くの車が同じタイミングで来ることまでは考えておらず、大きな駐車場なので、交通の混乱は起きないと考えている」と話した。
今回、大規模な足止めが発生して、日付が変わるころに「災害並みの対応」をする方針に切り替えたが、協会内で広く認識が共有されていなかった。今後は同様の交通トラブルが起きたときには「災害対策本部」を立ち上げ、すみやかに対応にあたるとした。
(万博の大規模足止め、1.1万人が会場で一夜 マイカー迎えを容認へ [大阪府] [大阪・関西万博2025]:朝日新聞)
社説:万博の孤立 非常時の備え、万全に
2025年8月20日 16:00 京都新聞デジタル心配されていた孤立のリスクが現実となり、運営側の危機管理の甘さが浮き彫りになった。事態を重く受け止め、来場者らの安全への責任を再確認すべきだ。
大阪・関西万博の会場につながる唯一の鉄道路線の地下鉄で停電トラブルが起き、帰れずに3万人が長時間、足止めされた。
運行再開は翌朝になり、大勢の人が熱帯夜での野外泊を強いられた。気分不良や熱中症疑いで36人が救急搬送された。おととい、万博協会トップが陳謝した。
会場の人工島・夢洲(ゆめしま)へのアクセスの乏しさは不安視されてきた。協会が作った防災計画でも、大地震などで交通が寸断し、孤立する事態を想定。だが、来場者の7割が使う大阪メトロ中央線の輸送障害への対策はなかった。
中央線は4月22日夜にも車両故障による運転遅れで約4千人が駅周辺に滞留したが、対策の具体化には至らなかった。
(社説:万博の孤立 非常時の備え、万全に|京都新聞デジタル 京都・滋賀のニュースサイト)
約1万1000人が会場で“オールナイト万博” その裏で・・・夜間の集団救急搬送 熱帯夜と湿度が原因か? 対策は?
8/22(金) 17:52配信 ABCニュース8月13日、大阪・関西万博が4ヵ月を迎えたその日の午後9時半頃、大阪・関西万博会場への唯一の鉄道ルートでメインのアクセス手段となっている大阪メトロ中央線で送電線によるトラブルが発生し運転が見合わせられることになりました。
運転が再開したのは翌日14日午前5時半頃で、一時、会場周辺にいた約4万人の足に影響。
万博会場には帰宅困難者が発生し、大屋根リングの下に置かれたベンチで寝る人や芝生の上で頭にタオルをかけ雑魚寝する人の姿も見られました。
万博協会によりますと、約1万1000人が翌14日午前5時まで、会場で一夜をすごしたということです。
開放されたパビリオンやライブカメラに向かってダンスを踊る若者がいたなど、SNSでは“オールナイト万博”と言われる中、夜間でも30度に近い大阪市内の気温。
熱帯夜の中過ごさざるを得ない人が多く発生する中で、体調不良を訴え高齢者を含む男女36人が救急搬送されました。
消防や協会によりますと、一晩で36人が搬送されたといい、うち35人が熱中症の疑いだったということです。
(約1万1000人が会場で“オールナイト万博” その裏で・・・夜間の集団救急搬送 熱帯夜と湿度が原因か? 対策は?(ABCニュース) – Yahoo!ニュース)