
8月13日の夜、夢洲に向かう大阪メトロ中央線が、まるで物語の中の鉄道のように突然立ち止まった。原因は、サードレールと呼ばれる電力供給の要が、鉄粉とほこりを身にまとい、湿気を吸い込み、ついには小さな稲妻を地面へと逃がしてしまったことだった。延焼防止のためのシートが、その夜ばかりは運命の媒介となり、電流を遮り、列車は沈黙した。
本来、昼間の混雑をさばくために増やされた本数が、この鉄粉の蓄積を促したという。見えないほど細かな粒子が、無数に積もって、ついには数万人の足を止める事態を招いた。原因が突き止められたのは発生からおよそ5時間半後の午前3時。シートが取り払われ、サードレールは再び息を吹き返し、5時25分、列車はようやく夢洲へ走り出した。
その間、会場に残された人々は、万博という巨大な箱庭の中で夜を迎えた。光るパビリオン、海風に揺れる旗、足元に落ちる長い影。誰もが予期せぬ「一夜限りの延長戦」に巻き込まれたのである。冷たい鉄と静かな波音に囲まれ、退屈よりも奇妙な高揚が勝っていた。これもまた、未来を描く祭のひとこまであった。
地下鉄停電…原因解明に6時間 万博 まさに“孤島”3万人が帰宅困難
8/15(金) 0:51配信 テレビ朝日系(ANN)万博会場には、バス・タクシー、地下鉄の公共交通機関、徒歩・自転車でしか原則、一般客はアクセスできません。
鉄道は、その7割を担う大動脈なので、そこが一度スタックすると、影響は甚大です。
別のゲートからバス・タクシーは使えました。増発されはしたものの、乗り場は大行列。多くの人が、会場内で過ごすことを余儀なくされます。
ただ、当時の気温は30度近くで、風はほとんどありません。
取り残された人たちのために、パビリオンが開放されました。協会から要請もあったそうですが、海外パビリオンなど、自発的に開けたところが多かったそうです。
水や段ボールを配るだけでなく、即席の充電ステーションを設置したり、ビールやワインを販売したり、おかしを配ったり。なかには、DJが夜通し選曲したりするところも。スタッフも帰宅困難者のはずですが、そこに悲壮感はありませんでした。
(地下鉄停電…原因解明に6時間 万博 まさに“孤島”3万人が帰宅困難(テレビ朝日系(ANN)) – Yahoo!ニュース)
大阪メトロ不具合「万博増便の影響」で鉄粉やほこり堆積か 過去に例ない停電発生と説明
8/14(木) 13:22配信 産経新聞大阪メトロ中央線の不具合で13日夜から運転を見合わせ、大阪・関西万博会場に大勢が取り残された問題で、大阪メトロは14日の記者会見で不具合の原因について、鉄粉やほこりがレールの電気系統に堆積して電流がショート(短絡)し、停電につながったと明らかにした。万博来場者のために輸送力を強化し、運行本数を増やしたことで堆積が進んだとみられる。
大阪メトロによると、停電の原因となったショートは、中央線のコスモスクエア-大阪港間で、車両に電力を供給する「サードレール」の熱伸縮を吸収するつなぎ目で発生した。電力を迂回(うかい)させる線に巻いた延焼防止シートに鉄粉やほこりが堆積し、電流が地面側に流れてショートを起こした結果、停電につながったとみられる。
これまで大阪メトロで同様の停電が起きた事例は確認されておらず、原因を特定できたのは停電発生から約5時間半後の14日午前3時ごろ。シートを除去したことで再送電が可能になり、同5時25分に中央線全線で運転を再開した。
(大阪メトロ不具合「万博増便の影響」で鉄粉やほこり堆積か 過去に例ない停電発生と説明(産経新聞) – Yahoo!ニュース)
「レールのショートが原因で停電」大阪メトロが会見で謝罪 万博で約3万人が夢洲駅周辺で足止め
8/15(金) 9:24配信 読売テレビ大阪メトロは昨夜からけさにかけて、万博の会場で多くの帰宅困難者を出した中央線の運転見合わせについて、レール部分のショートによる停電が原因であると明らかにしました。
大阪メトロは14日、会見を開き、万博の会場で多くの帰宅困難者を出したことを謝罪しました。中央線は、万博会場のある夢洲につながる唯一の鉄道ですが、13日午後9時半ごろから8時間にわたり、運転を見合わせたことで、夢洲駅周辺でおよそ3万人が足止めされ、多くの人が会場で一夜を過ごしました。
大阪メトロは、レール部分に水分などが付着してショートを起こし、停電したことが運転見合わせの原因だとした上で、ショートした場所を特定するのに時間がかかったと説明しました。今後、レールの緊急点検を行うとしています。
(「レールのショートが原因で停電」大阪メトロが会見で謝罪 万博で約3万人が夢洲駅周辺で足止め(読売テレビ) – Yahoo!ニュース)
2025年8月13日から14日にかけての Osaka Metro 中央線の運行支障について
[2025年8月14日]2025年8月13日(水曜日)21時28分頃、中央線コスモスクエア駅から大阪港駅間の電車線のトラブルに伴う設備点検のため21時30分から全線で運転を見合わせました。
22時10分から夢洲駅からコスモスクエア駅間の折り返し運転を、22時50分から阿波座駅から学研奈良登美ヶ丘駅間で折り返し運転を行い、翌8月14日(木曜日)5時25分から全線で運転を再開しました。
お客さま並びに関係者の皆さまにはご迷惑とご心配をおかけしておりますことをお詫び申し上げます。1 発生日時
2025年8月13日(水曜日)21時28分頃2 発生場所
中央線コスモスクエア駅から大阪港駅間3 中央線の運行の時系列
21時30分 全列車出発抑止
22時10分 夢洲からコスモスクエア間 折り返し運転開始
22時50分 阿波座から学研奈良登美ヶ丘間 折り返し運転開始
23時00分 夢洲駅 会場警察から夢洲駅地上部の警備体制が取れないため、駅への進入を取り止めるよう指示あり
23時45分 夢洲駅 お客さま入場再開(23時50分 折り返し運転再開)
24時20分 阿波座駅発学研奈良登美ヶ丘行き最終列車(その後、阿波座から長田間で折り返し)
5時25分 中央線全線運転開始4 概要
2025年8月13日(水曜日)21時28分頃、中央線コスモスクエアから大阪港間の電車線(サードレール)において、停電が発生し、再送電を試みるも復旧しませんでした。
停電発生区間を点検した結果、サードレールの伸縮継目(寒暖差によるサードレールの伸縮を吸収する構造)部で、電気の連結を行うジャンパー線(※別紙参照)に巻いている延焼防止シートを撤去して絶縁測定した結果、数値が向上したため再送電し復旧しました(延焼防止シートに付着した鉄粉や水分による絶縁低下が推定される)。その後、安全確認のうえ、2025年8月14日(木曜日)5時25分に中央線全線で運転を再開しました。5 再発防止策
サードレールの伸縮継目部の点検強化を図ってまいります。
(2025年8月13日から14日にかけての Osaka Metro 中央線の運行支障について|Osaka Metro)