
万博という舞台には、光と影がつきものだ。夢のようなパビリオン、まばゆいばかりの展示、その背後では、静かに歯車を回し続ける人々がいる。彼らの存在がなければ、どれほど華やかな会場であろうとも、たちまちその輝きは色あせる。
大阪・関西万博の日本館においても、そんな陰の立役者たちの声が、ようやくかすかな振動となって外へ漏れ出た。スタッフたちは、一部の者が労働組合を立ち上げるという行動に出たのである。開幕当初、彼らに与えられたトイレは、広大な館内にたった二つ。それも、短い休憩時間では到底たどり着けぬような遠方にあったという。喉を痛めても休むこともできず、目に見えぬ疲労と焦燥が蓄積していく。そんな状況が続いた果てに、十四名のスタッフが声を上げた。まさしく、小さき者の反乱である。
奇妙なことに、その声が外部に届いた途端、事態は急に動き出した。五月下旬から、スタッフたちはようやく、館内すべてのトイレを使えるようになったのである。それまで「使ってもよかった」とする運営会社の弁明は、もはや空虚に響く。かの万博協会も、再委託先との意思疎通に不備があったと釈明するに至った。
世界に向けて“未来”を謳う博覧会。その最前線に立つ人々が、自らの未来を守るために手を携える。これはパビリオンの片隅で生まれた、ささやかだが確かな一歩である。夢の国の裏側に、現実が宿る。そのことに気づいたとき、人は万博をほんとうの意味で“見に行く”のかもしれない。
万博・日本館のスタッフの一部が『労働組合』を結成 担当大臣は「スタッフも働きやすい環境が重要」今後は、熱中症対策の強化など求める方針
6/20(金) 16:00配信 MBSニュース大阪・関西万博の日本館で働くスタッフの一部が、環境改善を求め労働組合を結成しました。伊東大臣はきょう、「万博の運営は働きやすい環境が重要」と述べました。
関係者によりますと、開幕当初、大阪・関西万博の日本館には、スタッフが使うことのできるトイレが2つしかなく、短い休憩時間にトイレに行けないなどの問題があったということです。
その後、雇用するイベント会社に労働環境の改善を求めた結果、5月下旬から、スタッフが館内全てのトイレを使える運用がスタートしています。
イベント会社は取材に対し、「館内の一部のトイレの利用は認めていたが、周知が足りなかった」とコメントしています。
また、関係者によりますと、スタッフがのどの痛みを訴えて休みを申し出るも、休めなかったことなどをきっかけに、労災につながるおそれがあるとして、今月18日に日本館で働くスタッフ14人で労働組合を結成しました。
(万博・日本館のスタッフの一部が『労働組合』を結成 担当大臣は「スタッフも働きやすい環境が重要」今後は、熱中症対策の強化など求める方針(MBSニュース) – Yahoo!ニュース)
万博「日本館」一部スタッフ、「休憩短くトイレに行けない」改善要求きっかけに労働組合結成
2025/06/18 22:41 読売新聞大阪・関西万博に政府が出展している「日本館」の一部スタッフが18日、職場環境の改善を求めて労働組合を結成した。休憩時間が短くトイレに行けないなどと雇用先に訴えたが、すぐには聞き入れられなかったことがきっかけだという。
同館は、日本国際博覧会協会(万博協会)が運営。再委託を受けたイベント運営会社「アクティオ」(東京)が10月までの会期中、案内役のスタッフ約300人を雇用している。
労組によると、スタッフ側は当初、外周にある専用トイレを使用していたが、3回の休憩時間中最も短い15分ではトイレに行けず、体調を崩す人もいた。開幕約2週間後の4月26日、同社に改善を求めたが、受け入れられなかった。
読売新聞が同社に取材した後、5月下旬から館内の全トイレをスタッフが使えるよう運用が変更された。同社は「館内の一部のトイレの利用は認めていたが、周知が足りなかった」と説明。万博協会はスタッフからの要望が伝えられておらず、「再委託先との意思疎通がうまく取れていなかった」としている。
(大阪万博:万博「日本館」一部スタッフ、「休憩短くトイレに行けない」改善要求きっかけに労働組合結成 : 読売新聞)
『トイレに行けない!』日本館スタッフが労働組合を結成「個人で申し入れても環境が変わらない」【万博】
6/23(月) 18:10配信 MBSニュース大阪・関西万博の日本館のスタッフが労働組合を結成。背景のひとつにあったのはトイレ問題でした。
6月23日も多くの人が訪れている万博会場。日に日に来場者が増える一方で、万博で働くスタッフは連日、大忙しです。日本館で働く芦田一さん。スタッフの労働環境をよりよくするために立ち上がりました。
6月18日、芦田さんを中心とした日本館で働くスタッフ14人が労働組合を結成したのです。問題のひとつに挙がっていたのは…「休憩中にトイレに行けない!」1日に約160人のスタッフが働き、その8割が女性という日本館。開幕当初、スタッフが利用できるトイレはバックヤードにあるものだけ。数が足りず、休憩時間では行くことができない人もいたため、改善を要請し、5月下旬から来場者用のトイレも含め、館内全てのトイレが使えるようになったといいます。
1970年の大阪万博の映像を見ると、『館長は団交に応じよ』パビリオンのスタッフとみられる人たちが、労働環境の改善を求めてストライキする姿が残されていました。日本館の労組はその後、40~50人規模に。芦田さんは、これからも来場者を快く迎えるための働きやすい環境を求めていきたいといいます。
(『トイレに行けない!』日本館スタッフが労働組合を結成「個人で申し入れても環境が変わらない」【万博】(MBSニュース) – Yahoo!ニュース)