• 万博閉幕から

はしかなど拡大予測の研究

はしかなど拡大予測の研究

夢洲を包む海風は、どこか物憂げで、それでも未来を語るように吹き抜ける。大阪・関西万博の会場では、日々世界から集う人々の息遣いとともに、目に見えぬものたちもまた流れ込んでいた。大安研、大阪健康安全基盤研究所は、その流れに耳を澄ますことにした。下水という名の地下の記憶をたどりながら、未来の感染拡大をいち早く読み解こうという試みである。

舞洲の抽水所では、週に一度、透明なボトルに詰められた下水が研究所へと運ばれてゆく。そこには、まだ表には現れていない異変の兆しが眠っている。新型コロナやインフルエンザ――人の体をすり抜け、気づかれぬまま広がる病原体たちが、PCRの光の中に浮かび上がる。

下水という日常の深層に目を向けることで、この実証研究は未来の健康地図を描こうとしている。混雑したパビリオン、笑い合う観光客の背後に、科学者たちは静かに備えている。感染の波がやってくる前に、波紋を読む者たちの物語が、ここにもある。

万博会場周辺の下水で感染症調査 はしかなど拡大予測の研究
6/29(日) 14:37配信 共同通信

 国内外から多数の人が訪れる大阪・関西万博を巡り、大阪健康安全基盤研究所(大安研)が会場周辺の下水に含まれる病原体を調べ、感染拡大を予測する実証研究を始めたことが29日、分かった。万博会場などで体調不良で受診した患者の情報と合わせて解析することで、発生状況の早期探知や国内で流行するリスクがどれほどあるのか把握することが狙い。
 対象となる感染症は、はしかや中東呼吸器症候群(MERS)など約20種類。万博会場がある人工島・夢洲の周辺などの排水を週に1回採取し、ウイルスや細菌の遺伝子が含まれるかを調べる。

万博会場から感染症拡大防げ…週1回下水調査し早期対策、イベントでは異例の試み
7/3(木) 7:58配信 読売新聞オンライン

 大阪・関西万博の会場から出た下水に含まれる病原体を調べて、夏場に患者増が懸念される新型コロナや蚊が媒介する感染症などを早期に把握しようとする取り組みが進んでいる。イベントでは異例の試みで、関係者は「万博会場から感染が広がらないように」と目を光らせている。
 6月上旬、万博会場の北東約3キロにある舞洲(まいしま)抽水所(大阪市此花区)で専門業者の社員2人が、会場からパイプで送られてきた下水をボトルに詰めた。
 ボトルは、地方独立行政法人・大阪健康安全基盤研究所(大安研、同市東成区)へ運ばれ、病原体の遺伝子量などを調べるPCR検査にかけられる。万博開始3か月前の1月から、週1回のペースで行っている。
 この取り組みは、大安研と大阪大、大阪公立大が連携して進めている。万博会場は連日混雑しており、パビリオン内などが「密」になりやすい上、外国人観光客による輸入感染症のリスクもあることから、会場が感染拡大の起点になるのを防ごうと注意を強めている。
 特に警戒するのが新型コロナだ。世界的な流行が始まった2020年以降、国内では夏に毎年、感染拡大しており、昨年も7月末に第11波が到来した。
 人の排せつ物には細菌やウイルスの遺伝子が含まれる。無症状の場合や潜伏期間中なら、感染者が気付かぬ間に感染を広げるケースもあるが、下水中の病原体の遺伝子量を計測することで、いち早く覚知できる。
 これまでの研究で、新型コロナとインフルエンザは約1週間前の時点で街中での感染拡大を予測できるとわかった。
(万博会場から感染症拡大防げ…週1回下水調査し早期対策、イベントでは異例の試み(読売新聞オンライン) – Yahoo!ニュース)

投稿日:2025年7月11日

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