つい、うっかりしていると期限は過ぎてしまう。この日のライブも、気がつけば前売り券の販売が終わっていた。残るは当日券である。
雨の中、高円寺まで行くべきか、行かぬべきか。前回の横浜では、グラスバレーのポップな曲を期待する自分にとって、まさに修行の1つでもあった。それでも今回はもしかして、と思ってしまう。
行かなかった場合の後悔まで先回りして考え、私は高円寺にチャレンジしていた。無事に当日券を購入できたので、まずは自分の判断を正解にするための最低条件を突破した。
高円寺HIGHは天井が高く、きれいだった。ここでGIオレンジもライブをやったのかと思うと、来れば良かったと今さら後悔する。そして今日も来なかったら、同じように後悔していただろう。
過去の後悔を材料に、今日の判断を正解へ持ち込む。ずいぶん自分に都合がよいが、当日券で中に入った者が勝手に納得するぶんには問題ない。
ライブは今回も、聴かせる曲と新しい曲を中心に進んでいく。「心は春の霞にて」があり、2部では「18号線」「ジプシーキャラバン」と新曲が続いた。出口雅之が今歌うのがこれなのだ、これが正解なのだと、納得せざるを得ない。
今回も修行。いや、かなり自分に納得させていた。雨の中を来た以上、こちらにも当日券代だけでは済まない事情があるのだが、その事情ごと引き受けて聴くのが今回のライブなのだと思うことにした。
そしてアンコールに入り、「白い旋律」が歌われる。残された曲数など私にはわからないが、感覚としてはもう後がない。期待している自分と、期待しすぎるなと止める自分が、同じ席に座っていた。
そこで「IDENTITY CRISIS」が来た。
もう1曲でお腹いっぱいだった。雨の中、高円寺まで来た意味があるというものだ。前売り券の期限を逃したことも、当日券を気にしながら出かけたことも、この1曲の前ではすべて私に都合よく組み替えられた。
2026年に「IDENTITY CRISIS」を生で聴ける贅沢。そのあとには「DRIVE」もあったが、私の満腹はすでに決まっていた。来なければ後悔していたという最初の思い込みは、最後にはちゃんと事実になったのである。
今回は、うっかりしたまま終わらなくてよかった。