2024年5月15日、東京ドームでCOMPLEXの「日本一心」。開演は18時30分である。こちらも妙にきちんと構えてしまうが、始まるのは「BE MY BABY」だ。構えたところで、最初からこれでは逃げ道がない。
続く「PRETTY DOLL」から「CRASH COMPLEXION」、「NO MORE LIES」まで、曲順を眺め直すだけでも前半の押し方がよくわかる。東京ドームでCOMPLEXを観る日に、少しずつ様子を見ながらという都合のよい時間は用意されていなかった。
5曲目に「路地裏のVENUS」が置かれているのも面白い。東京ドームという場所で、曲名は路地裏である。もちろん路地裏になるわけではないのだが、その食い違いまで含めて、この日の記憶には妙に残る。
「LOVE CHARADE」、「2人のAnother Twilight」を経て、「MODERN VISION」へ進む。そこから「そんな君はほしくない」、「BLUE」、「Can’t Stop The Silence」、「CRY FOR LOVE」と続き、曲名を追っているだけなのに、ずいぶん注文の多い夜だと思う。ほしい、ほしくない、止められない、愛を求める。こちらの気持ちはそこまで整理されていないが、COMPLEXは待ってくれない。
中盤には「DRAGON CRIME」、「HALF MOON」、「ROMANTICA」。そして15曲目の「ROMANTICA」から「PROPAGANDA」へ行く。この並びは文字で見ても急で、だからこそCOMPLEXらしい、と私は勝手に納得する。都合のよい思い込みだが、ライブの最中くらいはそれでいい。
「IMAGINE HEROES」、「GOOD SAVAGE」と進み、19曲目に「恋をとめないで」が来る。待っていた曲というだけではなく、ここまで18曲を通ってから鳴る位置に意味がある。最初から近道をせず、東京ドームでこの順番をきっちり受け取るのである。
本編最後は「MAJESTIC BABY」。1曲目が「BE MY BABY」で、20曲目にもBABYがいる。そこまで数えて何になるのかと言われれば、特に何にもならない。ただ、この日のセットリストを見返すたび、両端ではないものの最初と本編最後にBABYが置かれていることを確認してしまう。こういう執着は、本人にしか役に立たない。
アンコールは「1990」から「RAMBLING MAN」。公演名や会場の大きさに気を取られていた頭が、曲名ひとつで「1990」に固定される。数字は強い。説明を始める前に、その4桁だけでこちらを連れていく。
そしてWアンコールまであった。「CLOCK WORK RUNNERS」と「AFTER THE RAIN」である。20曲の本編を終え、アンコールを2曲やり、さらに2曲。終わりそうなところから、まだ曲が出てくる。その事実には素直に喜ぶしかない。
最後が「AFTER THE RAIN」だったことも、この日の収まり方としてよく覚えている。大げさな結論をつけなくても、2024年5月15日の東京ドームでは24曲が鳴り、最後に残った曲名が「AFTER THE RAIN」だった。それだけで十分なのに、帰ってからまた曲順を見直し、本編最後のBABYを確認する。やはり私はそこへ戻るのである。