
その日、ゴードンはトップハム・ハット卿を乗せ、威風堂々と急行を引くはずであった。だが、運命はいつだって裏切りがちだ。安全弁の故障により、あろうことかヘンリーのトンネルで立ち往生してしまう。
その様子をトンネルの奥から眺めるヘンリー。にやにや。終始にやにや。
トップハム・ハット卿は呟く。「大きな機関車というのは、どうしていつも私に迷惑をかけるのだ」
ヘンリー、ますますにやにや。
助けに来たエドワードも歯が立たず、万策尽きたそのとき、閉じ込められていたヘンリーに白羽の矢が立つ。「君、頼めるかね?」――「いいとも!」
そしてヘンリー、満を持して発進。堂々たる牽引力で見事に列車を救出。万々歳!祝砲鳴り響く勢いである。
その勢いに押され、トップハム・ハット卿の帽子はふわりと空へ舞い上がり、なんと通りすがりのヤギに美味しくいただかれてしまうのであった。実に万々歳。


