80年代のバンドたちが、近ごろ妙に元気である。あの時代の眩しさが、埃を払ったように再び輝きだしているのだ。青春の隅に置き忘れたレコードジャケットたちが、今になって私を呼び戻す。
そんな流れの中で、ついに米米CLUBのステージを観る機会がやってきた。場所はぴあアリーナMM。灼けた8月の光が横浜の海に跳ね、心の奥をざわめかせる。
彼らはただの再結成バンドではなかった。舞台の幕が上がった瞬間、そこに広がっていたのは「復活」ではなく「現在」だった。衣装も演出も、ひとつひとつが奇想天外でありながら、妙に洗練されている。長い年月を経てなお、遊び心が少しも錆びていない。観客席のあちこちから笑い声が上がり、すでに誰もがその渦に巻き込まれていた。
そして「Shake Hip!」のイントロが鳴り響くと、会場の空気が一変した。まるで時代そのものが跳ね上がるように、誰もが自然と体を動かす。照明が弾け、サウンドが奔流のように広がる。音楽が人間の理性を追い越していく。あの一瞬、80年代の熱狂と2020年代の空気がぴたりと重なった。
見逃していた時代の扉が、ようやくこちら側から開かれる。笑いながら、踊りながら、心のどこかで少し泣きそうになる。あれほど自由な音楽が、確かにまだこの世界に生きているのだ。
「a K2C ENTERTAINMENT TOUR 2023 ~WILD SOUL CARNIVAL~」
2023年8月6日 ぴあアリーナMM
01. レオのうた
02. 浪漫飛行
03. WE ARE MUSIC!
04. 愛はつづいてる
05. 俺色にそまれ
06. 君がいるだけで
07. セレンゲティ
08. 大草原(生贄)~chaser
09. 野生の女
10. やっタンゴたっタンゴ
11. いみじくも君は遠い彼方 海よりも深い恋なの
12. Blow It Up
13. ワイルドソウル
14. OH!
15. Primitive Love
16. El Co-Conga
17. どうにもとまらない
18. Shake Hip!
<アンコール>
19. ときの旅路
20. 上を向いて唄おう
音楽ナタリーから
ファイナル公演当日、開演時刻を迎えて紗幕が上がり、アフリカのサバンナを模したステージで最初に奏でられたのは往年のテレビアニメ「ジャングル大帝」のエンディングテーマ「レオのうた」。ライオンを象った被り物を付けたカールスモーキー石井(Vo)を中心に、メンバーたちはアニマル柄の衣装で勇壮なアンサンブルを奏でて観客のテンションを高めた。「最後までよろしく!」という石井の挨拶に続いてはバンドを代表する大ヒット曲「浪漫飛行」そして「WE ARE MUSIC!」へ。草原を吹き抜ける風のように、軽やかなサウンドが届けられた。 (米米CLUB、全国ツアーでワイルドなソウルを表現(ライブレポート / 写真5枚) – 音楽ナタリー)
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