アウトウッドへ向かう道は、どこか懐かしい匂いを帯びている。ウェスト・ヨークシャーの丘陵がゆるやかに波打ち、かつて炭鉱の煙が立ちのぼった土地は、静かに暮らしの色を変えながら広がっている。A61リーズ・ロード沿いに連なる家々は、古い集落が少しずつ身ぶりを変えていった名残をやわらかく抱え、レンソープやスタンリーと結ばれて、ひとつの大きな呼吸を成している。
この地名が最初に姿を現したのは、ロビン・フッドの物語においてだと言われる。1400年頃、語り部たちが森で火を囲みながら紡ぎ続けた冒険談が、やがて印刷の世に姿を変え、そこにアウトウッドの名がひっそりと紛れ込んだ。アーサー王らと並ぶ国民的神話の片隅に、ひとつの集落の気配が刻まれていたと思うと、旅人の胸は不思議にざわつく。
かつての炭鉱村の面影と、伝説の森のかけらが同居するアウトウッドには、過去と現在がひそやかに揺れ続ける気配がある。歩いてみたくなる。触れてみたくなる。そんな土地だ。
↑ wikipediaでの写真
アウトウッドの駅近く
アウトウッド/Outwood
- アウトウッド駅情報
- 駅開設:安政5年 今年目
- 乗降客数:745人 (2022-23年)