
長らく心の隅に引っかかっていた名前、出口雅之。そのライブにようやく足を運ぶ日が来た。期待と不安が入り混じったまま扉をくぐると、そこには五十人か六十人ほどが収まる小さな空間が広がっている。
人の気配は確かにあるのに、どこか静謐で、秘密の会合に紛れ込んだような感覚が漂う。椅子が整然と並んでいるのもありがたく、立ちっぱなしを覚悟していた身には、ゆっくりと音楽に身を委ねられる安心があった。
やがて姿を現した出口雅之は、どこか僧侶のような風貌で、長い時間の経過をそのまま身にまとっているように見えた。衣装もまた飾り気がなく、むしろ削ぎ落とされた印象すらある。
しかしひとたび歌声が響いた瞬間、その見た目との落差に思わず息を呑む。声はまったく衰えていない。いや、むしろ余分なものが削ぎ落とされ、いっそう澄んでいるようにすら感じられる。時間というものが、声だけを丁寧に保存していたかのようだった。
進行はどこかぎこちなく、空気はときにゆるやかに崩れる。だが、それが不思議と心地よい。完全に一人で紡いでいくライブという形式は、音楽を飾らず、そのまま差し出す行為なのだと気づかされる。
グラスバレー、そしてジェントルマン テイク ポラロイドの楽曲が流れ出すと、記憶の底に沈んでいた風景がゆっくりと浮かび上がる。あの頃の空気、あの頃の自分が、静かに現在へと重なってくる。
華やかさや派手さとは無縁の場所で、それでも確かに息づいている音楽。その現場に身を置くことでしか味わえない時間がある。気づけば、またこの場所に戻ってきたいと、静かに思っている自分がいた。
MASAYUKI DEGUCHI 2026 LIVE TOUR
- 2026.4.19 開場:16:30 開演:17:15
- 前売:¥6,000(ドリンク代別)
- 会場:BAYSIS
4.19 横浜ベイシス/セットリスト
〈1st〉
〜お経風SE〜
1 BLACK SEA (album:Black Sea)
2 影 (album:Black Sea)
3 21世紀 (Masayuki Deguchi)
4 East West (album:Black Sea)
5 FLOWER RAIN (album:晦冥の老人)
6 だれかが風の中で (cover)
7 白い旋律 (Grass Valley)
8 どうしようもなく (album:晦冥の老人)
9 瓦礫の詩人 (Grass Valley)
〈2nd〉
1 夏の足跡 (Masayuki Deguchi)
2 Backseat Butterfly (Suicide Sports Car)
3 Jesus & Mellow (album:晦冥の老人)
4 スープアラビアータ(album:Black Sea)
5 DEAD END STREET (Grass Valley)
6 BREAK DOWN (REV)
7 晦冥の老人 (album:晦冥の老人)
8 DRIVE (album:晦冥の老人)
9 STAY IN MY CAR (album:晦冥の老人)
〈encore〉
1 Sail to the Star (album:Black Sea)
2 上毛かるた (未発表曲)
3 名もなき風 (Gentleman take Polaroid)
(Monday 20 Apr. 2026 | 出口雅之 アメブロ)
盛り上げていただきありがとうございました。4.19セットリスト→https://t.co/Z3txSOHgHc
オープニングのオンサーキーA“お経風SE”の合唱は結果20分^^;ちょっと長かった💦まぁ調整しながらやりたい事を詰め込んで一期一会を楽しみたいと思います♪https://t.co/joKf9h8Uyi pic.twitter.com/DneRmDoLe9— 出口雅之 (@deguchiofficial) April 20, 2026