ビルボードライブ東京――ガラス越しに見える街の灯りが、まるで星のように瞬いている。その光の海に包まれながら、ハワード・ジョーンズが新作『トランスフォーム』を携えて帰ってきた。
ステージに姿を現した瞬間、時の流れがふっと歪んだように感じた。80年代の風が、ほんの少しだけ逆流する。だが懐古ではない。彼のシンセサウンドは、今もなお進化の途中にあり、光沢のある未来を見せてくれる。音が立ち上がるたび、観客の胸の奥で何かが目覚めるようだった。
今回はDUOシートを選んだ。テーブルの上には静かにグラスが揺れ、耳に届くリズムがその水面を震わせる。目の前のハワードは、かつての金髪の青年ではないが、まなざしの奥に変わらぬ情熱が宿っていた。年輪のように重ねられた時間が、音の奥行きを増している。
「ニュー・ソング」が始まった瞬間、客席の空気が一変した。拍手が波のように広がり、誰もが笑顔になる。求めていた曲が、次々と現れる。すべての曲が丁寧に選ばれ、まるでこちらの心の中を読まれているようだった。
終演後、照明が静かに落ちる。余韻が長く残る、いい夜だった。十年の時を経ても、彼の音楽は少しも古びていない。それどころか、あの頃の夢を新しい姿で蘇らせてくれた。心の奥底で、もう一度自分も変わりたいと思う。ハワード・ジョーンズの「トランスフォーム」という言葉が、そのままこの夜を象徴していた。
2019/08/02 (金) – 2019/08/03 (土)
ハワード・ジョーンズ
エレクトロニカの先駆者にして、ポップ・シーン屈指のメロディ・メイカー／ソングライター、ハワード・ジョーンズが新作を引っ提げて登場。ここ日本でも大ヒットしたデビュー作『かくれんぼ』が35周年を迎える今年、ポップス・アルバムの新作としては10年振りとなるニュー・アルバム『トランスフォーム』が5月にリリースされる。彼のトレードマークであるシンセ満載のアレンジが施された最新曲から往年のヒットソングまでが披露されるポップ・レジェンドのステージに期待が高まる。
Open / Start
08/02 (Fri) 1st stage open 17:30 start 18:30 / 2nd stage open 20:30 start 21:30
08/03 (Sat) 1st stage open 15:30 start 16:30 / 2nd stage open 18:30 start 19:30
(ハワード・ジョーンズ｜イベント詳細｜ビルボードライブ東京｜Billboard Live（ビルボードライブ）)
Howard Jones: Live in Japan 2019
2019年8月3日（土）ビルボードライブ東京
セットリスト
1.Hide and Seek
2.Equality
3.Beating Mr. Neg
4.Everlasting Love
5.Hero In Your Eyes
6.The Human Touch
7.No One Is To Blame
8.Like To Get To Know You Well
9.The One To Love You
10.What is Love?
11.New Song
12.Things Can Only Get Better
(「ゆるやかにトランスフォームした男」ハワード・ジョーンズ8/3(土)ライヴレポ – ニュース – OTOTOY)
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