
「トマム」という音の響きには、なにか魔法のような余韻がある。ずいぶん前からその名が心のどこかで引っかかっていたのだが、ようやくその地を訪れることが叶った。
大人になって、世間にすっかり揉まれきった頃合いでなければ、かえってこの場所の不思議はわからなかったかもしれない。




北海道の奥地、草原のまっただなかに忽然と現れる高層のホテル。空に向かってすうっと伸びるその姿は、まるで天空に憧れて立ち上がった塔のようで、最初に目にしたときには胸が妙にどきどきした。
ここが「トマム ザ・タワー」。さらに奥へ進めば、「リゾナーレ トマム」。全室スイートルームという甘美な響きに浮かされながら、足元を確かめるように廊下を歩く。




広大な草原が広がっていて、そこにはなぜかソファがぽつんと置かれている。牛がのんびり草を食んでいて、鹿が普通に通り過ぎていく。文明と自然が握手したような奇妙な均衡がそこにはある。

広大な草原が広がっていて、そこにはなぜかソファがぽつんと置かれている。牛がのんびり草を食んでいて、鹿が普通に通り過ぎていく。文明と自然が握手したような奇妙な均衡がそこにはある。


ホテルから森の奥へと続く長いトンネルがある。これがまた妙に心をくすぐる。あれはもはや通路ではなく、現実から非現実へと身を移す儀式のようなものだ。





そして「ミナミナビーチ」。北海道の山奥に突如として現れる巨大な室内プールは、ほとんど蜃気楼のようで、もしくは誰かの夢がかたちになったものかもしれない。









私は思う。この旅は観光ではない、現実に擬態した空想の中をそっと散歩しているのだと。
「トマム」とは、そういう場所である。あの音の響きの奥には、現実の皮をかぶった小さな奇跡が、静かに息をひそめている。

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