バイエルン・ミュンヘンの海外スカウティング部門責任者、エゴン・コーデス氏(59)が本紙のインタビューに応じ、日本人選手獲得を含めた日本戦略を明らかにした。バイエルンはこのほど初めてアジアにスカウトを派遣。U〓23(23歳以下)日本代表FW大久保嘉人(21)=C大阪=らにターゲットを絞り、今後も継続的な調査を続ける。
ドイツの誇る名門クラブが日本人獲得に動き出した。昨年、中田英(ボローニャ)、稲本(フラム)のバイエルン移籍のうわさが流れたが、今回は敏腕スカウトをわざわざ日本に派遣。これはクラブ側が本腰を入れた証拠だ。
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コーデス氏は3月上旬のA3杯(上海)から中国、日本を中心とした約2か月のアジアのスカウティングツアーを終えてドイツへ帰国。すでにスカウティング部長のドレムラー氏らとの担当3者会議でリポートは提出したという。
1980年代にハンブルガーSVなどの監督を歴任し、スカウトとして世界中の逸材を見いだしてきた同氏はバイエルンが初めて派遣した極東スカウト担当。同氏によると、バイエルンのスカウティングシステムは緻密(ちみつ)を極める。全世界の情報網からリポートされた逸材を選別し、第1段階でコーデス氏を代表戦に派遣。次にクラブの試合も視察し、3段階目でドレムラー氏が直接視察。最後にウリ・へーネスGMとカールハインツ・ルンメニゲ社長の最終判断でGOサインが出る。
現時点で将来の獲得候補にリストアップされているのはアテネ五輪代表のエース、大久保だ。コーデス氏は3月のアテネ五輪日本ラウンド3試合をスタンド視察で、UAEラウンドをビデオでチェックした。クラブ間で提携関係を結ぶC大阪入団前には短期留学した経験もあり、スカウト会議では担当幹部も「スピードがある。トリッキーで素晴らしい選手」と評価しているという。
アディダス・ジャパン社と業務提携を結ぶなど極東マーケット進出を狙う“ドイツの巨人”の大きな手は、水面下で着実に近づいている。
◆バイエルン・ミュンヘン 1900年創立。ドイツ・ブンデスリーガの超名門クラブ。リーグ優勝18回、欧州チャンピオンズリーグ優勝4回を誇る。“皇帝”と呼ばれたベッケンバウアー(現名誉会長)ら多くのスター選手を輩出。監督はオットマール・ヒッツフェルト氏(55)。中心選手はドイツ代表の守護神オリバー・カーン(34)。ホームスタジアムは、オリンピア・シュタディオン(6万9000人収容)。
◆コーデス氏「試合に臨む姿勢と精神力を評価」
〓バイエルンのスカウティングシステムは?
「1995年に現在のシステムを確立した。スカウト担当者3人が欧州、北米、南米、アジア、アフリカを視察する。今回アジアを初めて視野に入れた」
〓具体的には?
「選手の観察に時間をかける。何年もかける。この時点で選手は見られていることを知らない。4、5人の候補をクラブに提出し、ヘーネスGM、ルンメニゲ会長がチェック。その後、クラブ間の金銭交渉に入る」
〓アジア視察の手応えは?
「現状でバイエルンのレベルに達している選手は少ない」
〓興味のある選手は?
「個人名を出すことは避けたいが、大久保のことはドレムラー(スカウティング部長)から聞いていた」
〓ドイツで戦うには?
「日本人がドイツでプレーするには体格という面で問題がある。ブンデスリーガではまずパワーが必要とされる。ただ、ゲームに臨む姿勢、精神力は評価できる」(スポーツ報知)
[4月27日8時1分更新]