2006年のドイツで開催されたワールドカップ招致
に黒い何かが動いたかもということで家宅捜索
ベッケンバウアー氏の自宅など家宅捜索 「使途不明の670万ユーロ」巡り刑事訴訟へ
(ISM)
スイス検察当局(以下OAG)は現地時間1日(以下現地時間)、2006年W杯招致を巡る不正疑惑で、フランツ・ベッケンバウアー氏(70)の自宅を含むオーストリアとドイツの計8個所を家宅捜索したと発表した。
OAGはFIFA(国際サッカー連盟)の汚職事件を捜査しており、今回の捜索もその一環。ベッケンバウアー氏とそのほか3人についてすでに刑事訴訟の手続きに入っていると明かした。家宅捜索に加え、様々な関係者の事情聴取も行なっているという。
問題となっているのは、2005年4月27日にDFB(ドイツサッカー連盟)の口座からFIFAの口座へ送金された670万ユーロ(約9億9000万円:当時)。06年W杯組織委員会はオープニングセレモニーの支払いとしていたが、同日にスポーツ用品メーカー「アディダス」社のCEOだったロベール・ルイ・ドレフュス氏(故人)の口座に同額が振り込まれていることから、OAGはこれが虚偽申告だったとし、実際はルイ・ドレフュス氏に宛てたものとしている。
なお、独『シュピーゲル』誌(電子版)は昨年10月、この670万ユーロはルイ・ドレフュス氏が招致委員会に融資したもので、その資金がW杯招致に向けた票買収に使われたと報道していた。その真偽はまだ明らかになっていないが、DFBはFIFAに送金すると見せかけて、ルイ・ドレフュス氏に返済したとみられている。
OAGはベッケンバウアー氏のほか、テオ・ツヴァンツィガー氏、ヴォルフガンク・ニールスバッハ氏、ホルスト・シュミット氏に「賄賂、資金洗浄、管理不行き届き、横領」の疑いがあり、DFBの財務上の損失を招いたとしている。
選手としても監督としても、W杯優勝を果たした経験を持つベッケンバウアー氏は、ドイツで開催された06年W杯の組織委員長を務め、その翌年からUEFA(欧州サッカー連盟)の代表として、FIFAの理事を務めていた。
シュミット氏は06年W杯組織委員会の副委員長、ツヴァンツィガー氏はDFB元会長。『シュピーゲル』が疑惑を報じた際のDFB会長はニールスバッハ氏だが、同氏は不正を否定しつつ、昨年11月に「政治的責任を取る」として辞任。現在DFB会長はラインハルト・グリンデル氏が務めている。(STATS-AP)