ウィック

Wick

ウィック駅は、北海の潮の匂いと鉄の記憶を抱えた町への入口である。十九世紀に開かれたこの駅には、かつて巨大なターンテーブルが据えられ、機関車が回転し、南へ向かう市場のために銀色のニシンが積み込まれていった。

線路の先に広がるウィック川の河口には、テルフォードの構想によって築かれたプルトニータウンがあり、労働と希望を求めた人々の足音が今も地面に残っている。港は造船と漁業で膨らみ、砂州と高台に分かれた町並みが、生活の高低差をそのまま写し取った。女王夫妻も訪れた駅舎は、栄光と日常を等しく見送ってきた。ウィックは過去を展示する町でありながら、海風とともに歩けば、今なお動き続ける北の時間を感じられる場所である。

ウィックの駅近く

update: 2024年2月12日