サーソー

Thurso

サーソー駅に降り立つと、そこはグレートブリテン島の縁に開いた静かな玄関口である。線路の先には町があり、さらにその向こうにはオークニー諸島へ渡る海路が待っている。北海の風を受けて育ったこの町は、かつてノルウェーと結ばれ、交易と漁業で栄え、麻布やなめし革の匂いをまとってきた。

古い教会の石壁は十二世紀の時間を抱え、廃墟となった城は往時の重みを黙して伝える。原子力研究所や学校、球技に励む人々の営みが、最北の地に現在形の生活を刻んでいる。雄牛の川、トールの名を宿す水辺の記憶が町名に残り、神話と歴史が重なり合う。サーソーは終点でありながら始点でもあり、北へ向かう心を試すための、慎ましくも雄大な場所である。

サーソーの駅近く

update: 2024年2月2日