スコッツカルダー駅は、北へ北へと向かう旅人の決意が、ふと試される地点にひっそりと佇んでいる。最北のハイランド地方、歴史ある小村をいくつも背負いながら、列車はためらいがちにここへ滑り込む。利用者の少なさは、辺境の勲章のように誇らしく、時刻表の余白がそのまま風景となる。かつて駅舎は住まいへと転じ、丹念な改修によって鉄道遺産の栄誉を授かり、今は静かな私邸として眠っている。立ち入ることは叶わぬが、遠くから眺めるだけで十分に物語が立ち上がる。
周囲の大地にはローマやケルト、鉄器時代の痕跡が折り重なり、幾千年分の足音が泥炭の下で息づいている。ここを訪れるとは、人の往来が消えた場所で、時間だけが律儀に通過していく様を見届けることにほかならない。列車を降りる勇気が、旅を一段深いものに変えてくれる。
スコットスカーダーの駅近く