ネアンの町には、海の匂いがしみこんでいる。北の風が潮と草の香りを運び、通りを歩くたびに心が少しだけ古い時間へ引き戻される。かつて王立自治都市として名を馳せたこの町は、いまも穏やかな誇りを胸に抱きながら、静かに波打ち際に身を寄せている。
朝の光がビーチの砂粒を金色に染め、港には古びた舟の影が揺れている。丘の上から見渡せば、二つのゴルフコースの緑が風にたなびき、まるで大地がゆっくり呼吸しているようだ。
午後になると、小劇場「リトルシアター」からピアノの音がこぼれ、博物館では昔の漁師の写真がこちらを見つめている。彼らの眼差しの奥に、この町を包む穏やかな時間が流れている。 ネアンは、華やかでも劇的でもない。けれど、そこに立つと不思議と心が落ち着き、遠い記憶の中にある“懐かしさの原型”のようなものに出会えるのだ。
ネアンの駅近く