ミュア・オブ・オード駅は、かつて分岐という言葉を胸に秘め、谷と川に挟まれた土地の要として呼吸してきた。1894年に屋根を得た駅舎は、遅れてきた成熟のように落ち着きを湛え、閉鎖と再開という運命の折り返しを静かに受け入れている。
ビューリー川とコノン川が遮っていた道は橋によって開かれ、牛追いと市場、蒸留の香りが村を太らせた。ウイスキーが年輪のように時間を重ね、噂や騒動さえ風土に溶ける。列車を降りれば、歴史は足元でささやき、旅人はその低い声に導かれて、思いがけず長居してしまう。
ミュアー・オブ・オードの駅近く