カイル・オブ・ロカルシュ

Kyle of Lochalsh

カイル・オブ・ロカルシュ——その名を口にすると、潮風の匂いが胸の奥をかすめる。スコットランドの大地の果て、スカイ島へ渡る人々の玄関口にして、海と陸とが交わる不思議な境界の町である。

ここでは海が一日のリズムを決める。潮の満ち引きに合わせて船が動き、風が街路を吹き抜け、港に吊るされた網が陽を受けて銀色に光る。海軍の管制センターが遠くで静かに息をひそめ、海の底に眠るものたちを見守っている。

かつてゴルフコースがあった丘を越えると、プロックの森が広がり、潮騒の向こうに半島の影が浮かぶ。そこでは時折、霧が立ちのぼり、島と本土の境があいまいになる。海の向こうに行くのか、それともここに留まるのか——旅人はいつもその岐路に立たされる。カイル・オブ・ロカルシュは、そういう町である。

カイル・オブ・ロカルシュの駅近く

update: 2024年11月4日