キルドナン

Kildonan

キルドナン駅は、ハイランドの空気が最も澄んだ瞬間にだけ姿を現す小さな停留点のように思える。キルドナン・ロッジの近く、風に削られた大地のうえで、1874年から列車を迎え続けてきたこの駅は、鉄と石と苔が静かに調和した建築で知られる。1952年に最も美しい駅として称えられたのも、華美ではなく、土地の記憶をそのまま抱え込んでいるからだろう。ゲール語で礼拝堂の名を宿すこの地には、信仰と祈りの残響が今も漂う。

一方で、脱線事故が刻んだ痛ましい痕跡は、鉄道が自然に挑む営みであったことを思い出させる。近年、効率の名のもとに消えかけたこの駅は、人々の反対によって踏みとどまった。キルドナン駅は、通過点でありながら、わざわざ降り立つ理由を持つ場所である。ここでは旅が速度を失い、風景が胸の奥に深く沈み込む。

キルドナンの駅近く

update: 2024年1月8日