インバーゴードン

Invergordon

インバーゴードン駅は、クロマティ湾の深い入り江を背に、静かな港町の時間へ旅人を送り出す。レールの先には、港を核に育った町の層が幾重にも折り重なり、蒸留所の香りと金属の記憶が潮風に混じる。

湾を見下ろす線路の北東では、戦時に空と海を結んだ飛行艇の悲劇が、今も土地の奥に沈殿している。基地の遺構やタンクファームは、反乱と観艦式を抱えた港の激動を無言で語り、やがて市庁舎の石積みへと視線を導く。列車を降りれば、産業と軍港、そして祈りが同じ水平線に並ぶ町がある。インバーゴードン駅は、歴史の湾に足を浸すための、慎ましくも力強い入口である。

インバーゴードンの駅近く

update: 2023年7月6日