ハートウッド駅は、地図の余白にそっと記されたような場所にある。列車を降りると、まず静けさが迎えてくる。ショッツ線の規則正しい鼓動から一歩外れ、風と草の気配が支配する世界だ。かつて駅は巨大なハートウッド病院のために設けられ、人と物資が絶えず行き交っていたという。その名残は、今も空気の底に沈んでいる。
田園に囲まれた小さな集落の向こうには、双子の時計塔を戴いた病院跡が影のように立ち、時代の記憶を静かに抱え込んでいる。栄え、閉ざされ、焼け落ち、それでも完全には消えなかった時間の層が、この土地を特別なものにしている。
電化された線路を走る現代の列車と、19世紀の建物が残した余韻。その不思議な交差点に立つと、旅とは距離ではなく、深さなのだと思い知らされる。ハートウッド駅は、静かに心を遠くへ連れ出す入口である。
ハートウッドの駅近く