ゴルスピー駅は、北海からの風を背に、谷間の村という名の記憶を静かに抱いている。郵便局を併せ持つ瀟洒な駅舎は、鉄道が希望として迎えられた時代の面影を今に伝える。資金が尽き、線路が一度はここで息切れしたという逸話さえ、この土地では物語の一部として穏やかに受け止められている。
背後にはベン・ブラギーの山影が迫り、前方には北海の広がりが淡く光る。計画村として整えられた街路には、人の営みを長く見守ってきた教会の時間が重なり、漁と祈りと改良への志が折り重なる。ゴルスピー駅は、未完と志のあいだに立ち、ハイランドの歴史と海の気配へ旅人を導く静かな入口である。
ゴルスピーの駅近く