フォーサイナード

Forsinard

フォーサイナード駅は、世界の端に設けられた静謐な観測所のようである。かつて旅人を迎えた駅舎は、今や王立鳥類保護協会のビジターセンターとなり、列車よりも鳥の羽音のほうがよく似合う。踏切の向こうには小さなB&Bがあり、夜になれば湿原の闇がゆっくりと宿を包み込む。

駅の周囲に広がるのは、ユネスコ世界遺産フロー・カントリーの泥炭湿原で、空と地面の境界が溶け合う不思議な風景が続く。13,000ヘクタールに及ぶフォーシナード農園と、RSPBが守る広大な自然保護区には、多様な鳥類と野生生物が息づき、人間の存在は一時的な訪問者にすぎないことを思い知らされる。ここに降り立つことは、旅というより自然の長大な時間に身を預ける行為であり、静けさを目的地とする贅沢な遠出となる。

フォーサイナードの駅近く

update: 2024年1月14日