スコットランド北東の丘の上に、静かに息づく町——エルギン。かつて大聖堂の鐘が鳴り響いたこの地には、いまも古い時代の名残が空気の底に沈んでいる。駅に降り立つと、かすかに潮の香りを含んだ風が頬をなで、遠い昔から続くこの土地の物語をささやく。
エルギン駅は、アバディーンとインヴァネスを結ぶ線路の途中にあり、旅人たちが北の大地を往来する静かな交差点だ。ロッシー川の流れが町を包み、かつて王立自治都市として栄えた誇りが、古い石造りの街並みに残っている。
レディーヒルの丘には、今はなき城の記憶が眠る。ケルトの言葉で「美しい場所」を意味すると伝わる“エルギン”の名は、まさにこの町の気配そのものだ。駅のホームに立つと、列車の音とともに、どこか遠くの時代から呼び声が響いてくる。
エルギンの駅近く