ディングウォール駅は、線路が分かれるという行為そのものを誇らしげに抱えた駅である。インヴァネスから北へ、列車が進路を思案する地点にこの町は静かに腰を据える。かつて港として潮の匂いを集め、王立自治都市として人と物と権力が交錯した歴史は、今も駅前の空気に溶け込んでいる。
ヴァイキングの名残を思わせる地名、城と氏族の記憶、湾を失ってなお内陸で生き続ける意志。ここから西へ、また北へと旅は枝分かれし、旅人は自らの進路を選ばされる。ディングウォール駅は、移動ではなく決断のために立ち寄る場所である。
ディングウォールの駅近く